トランプが金正恩と会談したら「今そこにある危機」は解決するのか?

 

北朝鮮問題解決、「理論的」には「簡単」

トランプ金正恩、2人には「絶対権力がある」と仮定して考えてみましょう。すると、「北朝鮮問題」解決、実は簡単であることに気がつきます。

金正恩が恐れているのは、「アメリカが攻めてきて、自分が殺されたり、権力を失うこと」です。イラクのフセインのような運命になりたくない。

一方、トランプが恐れているのは、北朝鮮が、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させ、「アメリカ本土を核攻撃する能力」を得ること。

どうすれば、この問題を解決できるのか? 簡単ですね。

「北朝鮮の核兵器を破棄するかわりに、アメリカは、北朝鮮の体制に干渉しない。北朝鮮が、アメリカ、日本、韓国を先制攻撃しないかぎりアメリカが北朝鮮を攻めることは絶対ない!!!」と金正恩と北朝鮮、そして世界にむけて約束すればいい。しっかり条約を締結するのも大事です。

これで、北朝鮮問題は解決です。日本、アメリカ、韓国は、「核の脅威」がなくなって幸せ。金正恩と北朝鮮は、アメリカから攻撃される心配がなくなって幸せ。経済制裁が解除されれば、北朝鮮経済は、大いに発展することでしょう。ところが…。

根深い不信

こんな簡単な話ですが、実現する可能性はほとんどないでしょう。なぜ?

まず、アメリカと北朝鮮は、相互に不信している。アメリカ政府は、「対話はしない。アメリカはこれまで何度もだまされてきた」と主張しています。

一方、北朝鮮もアメリカを信用していません。なぜ? たとえばリビアの例を見てみましょう。リビアのカダフィ大佐は03年、「核兵器開発計画」を停止し、欧米との和解に動きました。ところが2011年、米英仏はリビアを攻撃。カダフィは、殺されました。カダフィの「血まみれ映像」を覚えている方も多いでしょう。この件、知らなかった人のために、ウォール・ストリート・ジャーナルから引用しておきましょう。

核協議に応じぬ北朝鮮、リビアが反面教師に
By ALASTAIR GALE 2015年7月29日 19:00 JST

 

北朝鮮の外交官に、なぜイラン式の核協議に関心がないのかと問うてみれば、中東の別の国を理由に挙げるかもしれない。それはリビアだ。リビアでは2003年に当時のカダフィ大佐が大量殺りく兵器を廃棄することで合意した。だが8年後、この独裁者は生まれ故郷シルトで殺害され、悲惨な最期を遂げた。

こういう例をみれば、金正恩が、アメリカを信用しなくても仕方ありません。トランプ時代に約束が守られても、次の大統領が反故するかもしれない。

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