トランプが金正恩と会談したら「今そこにある危機」は解決するのか?

 

トランプに絶対権力はない

トランプ就任から「100日が過ぎた」と騒いでいました。この100日でわかったのは、「トランプにはほとんど権力がない」ということ。なぜそのことがわかるのか?

選挙戦中、誰からも拘束されず自由だった彼は、非常に率直な発言をしていました。しかし、選挙戦中と大統領就任後では、「180度違う言動」をとるようになっています。たとえば?

ロシア

  • 選挙戦中=一貫してプーチン・ロシアとの和解を主張。2016年7月には、「クリミアをロシア領と認定する可能性」に言及。
  • 選挙後=親ロシア的姿勢は変わらないが、「私はプーチンを知らない」などとし、トーン・ダウン。ヘイリー新国連大使は2月、「ロシア制裁はクリミアをウクライナに返還するまで続く」と発言。

ウクライナ問題

  • 選挙戦中=ウクライナ問題は、「欧州の問題」とし、干渉しない意向だった。
  • 選挙後=既述のように、ロシアがクリミアをウクライナに返すまで、制裁を継続する方針。

シリア問題

  • 選挙戦中=「アサドは悪いが、ISはもっと悪い」と発言。つまり、アサド攻撃はやめISとの戦いに集中する方針だった。
  • 選挙後=シリア軍(つまりアサド政権の基地をミサイル攻撃し、世界を驚かせた。

中国

  • 選挙戦中=中国はアメリカ最大の脅威と認識。選挙後の2016年12月、台湾の蔡総統と電話会談し、中国を驚愕させた。
  • 選挙後=「私は、習近平が大好きだ!」と公言。台湾総統との電話会談は、もうしない方針。

これらの「変節」。一つは、「トランプには大統領としての十分な知識や戦略がない」ことを示している。

一方で、「彼がしたいことをさせてもらえない」ことも示しています。誰が邪魔しているのでしょうか? いわゆる「抵抗勢力」でしょう。誰が抵抗勢力?

  • 野党民主党(オバマ、ヒラリーもバリバリ活躍中)
  • 共和党内の反ロシア派(数が多い)
  • マスコミ(特にトランプから「フェイクニュース」と名指しで批判されたCNN、ABC、ニューヨーク・タイムズなど)
  • グローバリズムを推進する国際金融資本
  • CIAなど諜報機関

トランプに絶対権力があり、好きにできるなら、彼は金正恩とWIN-WINのディールができるかもしれない。しかし、トランプ自身が自由に動けない状態で、どんなディールがありえるでしょうか?

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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