疑惑の新文書がまたも…加計問題「萩生田メモ」を各紙はどう報じたか

2017.06.22
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uttii20170621
 

NHK「クローズアップ現代+」が報じたスクープをきっかけに、20日、文科省が公表した加計学園を巡る新文書。安倍首相の側近中の側近と言われる萩生田光一官房副長官の発言を記録したものとされますが、当の萩生田氏はこの内容を全否定しています。ジャーナリストの内田誠さんは自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で、この文書を新聞各紙がどのようなスタンスで伝えているのかを詳細に分析するとともに、安倍首相の「説明責任」の履行を強く求めています。

ついに総理最側近、萩生田官房副長官の具体的な関与が明らかに? 加計学園問題で新たに浮上した文書について、各紙はどう報じたか

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「『総理は18年開学』と期限」
《読売》…「豊洲移転 築地は再整備」
《毎日》…「加計ありき鮮明」
《東京》…「首相最側近 関与は?」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「また文書 政権防戦」
《読売》…「都議選にらみ 折衷案」
《毎日》…「『加計』苦しさ増す政権」
《東京》…「市場『併存』 懸念先送り」

ハドル

小池知事による「豊洲移転」「築地再整備」も大きいですが、文科省から新たに出てきた加計学園関係の文書かなりインパクトが大きいようです。安倍政権がはたしてこれで「投了」となるのか。都議選の告示まであと2日。話はかなり煮詰まってきたようです。《朝日》《毎日》《東京》は1面トップ他、《読売》も2面で大きく扱っていますので、こちらを取り上げます。今日のテーマは…ついに総理最側近、萩生田官房副長官の具体的な関与が明らかに!? 加計学園問題で新たに浮上した文書について、各紙はどう報じたか、です。

基本的な報道内容

学校法人加計学園の獣医学部新設を巡り、文科省は、萩生田光一官房副長官が昨年10月に文科省幹部と会い、加計学園の名前も出したうえで、「首相の意向」として2018年4月の開学を求めていたことを記した文書を公開した。

萩生田氏は同省幹部との面会の事実は認めたが内容は否定した。

逃げ惑う安倍政権

【朝日】は1面トップに2面の解説記事「時時刻刻」、4面に萩生田氏コメント要旨、12面社説、30面社会面にも。かなり大きな扱い。まずは見出しから。

1面

  • 「総理は18年開学」と期限
  • 「萩生田氏発言」文科省記録
  • 萩生田氏は否定
  • 新たな疑念 答えぬ官邸
  • 閉会中の審議 自民拒否

2面

  • また文書 政権防戦
  • 加計問題 都議選控え危機感
  • 既出文書と事実符合も
  • 「18年4月開学」■和泉補佐官の名

12面

  • 加計、森友問題
  • 首相の約束どうなった(社説)
  • 疑惑の全容を解明せよ(社説)

30面

  • 加計新文書公表「正確性欠く」強調
  • 政府弁明 苦しさも
  • 「ご注進」の職員 実は連絡役

uttiiの眼

1面記事には、いわば「資料批判」(史料批判?に通ずる詳細が書き込まれている。文書の標題は「10/21萩生田副長官御発言概要」。昨年10月21日に文科省の高等教育局長が萩生田氏に獣医学部新設について説明した際に出た萩生田氏の発言を、担当の専門教育課課長補佐が局長から聞き取り、自身の知る情報を加えて作成したメモ。そうすると、萩生田氏の生のコメントという線からはちょっと距離があり、文書作成の経緯という点からはやや追及材料として「力不足の感。萩生田氏は抽象的な言い方ながら、完全否定(文書コメント)しているので、形式的には、それを覆すインパクトがあるかどうか、微妙なところ。

しかし、問題は内容。中身が非常に生々しい。《朝日》は他の文書類の記載内容とシンクロするところが多い点を重要視しているが、それだけではない。

ポイントは4つほどあり、和泉補佐官が「農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている」と言っていること。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」と書かれていること。手続きの遅れは何が問題なのか書き出して欲しいとして、その後に「渡邉加計学園事務局長を浅野課長のところにいかせる」と書いていることなど。この具体性は、細部で萩生田氏が言ったことと齟齬があるかも知れないが、事柄の方向性、ニュアンスは間違えていないだろう。中央省庁の官僚が政治家の発言のニュアンスを誤読するなどほとんど考えられない。しかも、この時点ならば、こうした文書を、例えば萩生田氏を陥れるために作る、つまりでっち上げる必要はなかったはず。萩生田氏は完全否定だが、ではどんなニュアンスで、どんな話をしたのか、どこが正確でどこが不正確なのか、具体的な反論を全くしていない。内容の生々しさを勘案すれば、萩生田氏に説明責任が生じていると考えるべきだ。

《朝日》は1面記事最後のブロックで、野党4党が要求する予算委員会の閉会中審査や前川前文科次官証人喚問を自民党は拒否し、政権も「指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」(安倍氏)という言葉とは裏腹に、官邸が主導して疑念に答える様子は窺えないと批判している。

2面記事は新文書の明らかになった経緯をさらに詳しく説明していて、発端は19日のNHK「クローズアップ現代+」。官邸幹部はまたしても「怪文書に近い類いのもの」と難癖を付けたが、文科相は公表に追い込まれ、存在を認めることに。安倍政権は前川前文科次官が明らかにした一連の資料の時と同様、またしても、実在するホンモノの書類を調べもせずに怪文書扱いするという、許されざる不誠実を犯したことになる。

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