疑惑の新文書がまたも…加計問題「萩生田メモ」を各紙はどう報じたか

 

悪戦苦闘する《読売》

【読売】は1面を外し、2面からのスタート。 関連で4面に安倍氏に関わるミニ記事、33面社会面にも関連記事。 まずは見出しから。

2面

  • 「加計」新文書 野党が攻勢
  • 文科省公表 萩生田氏、発言否定

4面

  • 加計問題で反省
  • 首相「築城3年、落城1日だ」
  • 地方創生相「『陰でご注進』言い過ぎた」

33面

  • 「内容不正確」異例の説明
  • 加計新文書 文科省「個人メモ」

uttiiの眼

さすがは《読売》。1面には関連情報も一切載せず、2面や33面の記事の見出しには、この文書によって安倍政権が追い詰められることを恐れ抵抗しようとする心理が滲んでいる。新文書の発見は政権の命運に関わる重大な疑惑の発生としてではなく、「野党が攻勢」という、政局的な出来事に矮小化され、資料の中身の深刻さよりも萩生田氏が内容を否定したことの方が重要であるかのような書きぶり、文科省が公表しながら「内容不正確」と言ったとして、まるで鬼の首でも取ったような勢いで見出しに反映させるやり口、文書は「個人メモ」であると強調することによって内容にケチを付けようという魂胆など、実に徹底している。次から次へと明らかになる事実に対して、《読売》の「悪戦苦闘が続いている

きょうの《読売》から拾い上げておくべき事はあまり多くないが、《読売》の特徴が如実に表れている表現が2カ所あったので、それを紹介しておくことにしよう。

1つ目。2面記事の後段。新文書の確認で野党が勢いづいているとした後で、今後の野党の動きについて、こんなふうに書いている。

首相が19日の記者会見で「指摘があればその都度、国会の開会、閉会にかかわらず分かりやすく説明していく」と発言したことを踏まえ、首相や萩生田氏を追及し、説明を求める考えだ。

なにも問題はないように感じられるかも知れないが、この文章は、新文書が明らかになった現在の状況下で、19日の首相発言がどんな意味を持つかについて、「判断停止でもしなければ書くことができない代物。首相があんなふうに言った以上、まあ、野党ならそれを利用して追及しようとするんじゃないですか…というくらいの気分で書いている。「踏まえ…」とは随分軽い言い様だが、《読売》自身は「踏まえ」てもいない。まるで外国の出来事のようだ。

もう1つ。そのすぐ後に、野党4党が閉会中審査などで合意したことに触れた後、次のような記述がある。

会談後、民進党の山井和則国対委員長は自民党の竹下亘国対委員長に電話で要望を伝えた。与党側は、告示が23日に迫った東京都議選への影響を最小限に抑えたい考えで、竹下氏は野党側の申し入れを拒否した。

東京都議選への影響を最小限に抑えたい考え」なるものが、真相解明を求める有権者・国民にとっても顧慮すべき「考え」であるとは到底思えない。山井氏に対して竹下氏がこのようなことを閉会中審査開催拒否の“理由”として述べたわけでもなかろう。勝手な推測で、党利党略を正当な理由のように見せかける詐術的な文章と言わなければならない。

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