【書評】なぜ若手社員は全員「使えない」ように見えるのか?

 

いくつか、ポイントをチェックしてみましょう。

彼らの多くが望んでいるキャリアイメージ、それは、スペシャリスト志向です

定められたレールに乗っていれば、安定と幸せが手に入る時代は、終わったのです。そのかわりに待っていたのは、「自分で自分の物語を作らなければいけない時代」でした

2004年は「キャリアリスク元年」

総合的学習の時間やAO入試は、今の若手世代に、どのような好影響を与え、彼らにどのような変化をもたらしたのでしょうか。私は、彼ら若手世代のプレゼンテーション能力の高さや、フラットなヨコのネットワーク力、コミュニケーション力の高さは、これらの施策によってもたらされている側面が大きいと捉えています

仕事環境が整備され、システマティックになるほど、仕事の自律性は損なわれます。気づきや発見をもとに、自身で創意工夫を重ねてみよう、という気持ちは生まれません

「マネジャーが忙しそうで、声をかけるのがはばかられる」「こんなこともわからないのか、と言われたらどうしようと思って、声がかけられない」

フラットなヨコのネットワークを駆使して、お互いを尊重しながら、グループやコミュニティを形成していく、という彼ら若手世代のコミュニケーションスタイルとはまったく異なる、そのスタイルを踏みにじるようなコミュニケーションが、会社の中では基本になっているのです

専門力だけでは、仕事は前に進みません。どのような仕事をする上でも、その実行には、「基礎力」が必要です

アドバイスをする上でも、あなたが考えている最適解を伝えるのではなく、本人に、最適解を気づかせることを心がけてください。そのためには、効果的な質問を繰り返すことです

これでは、上司と部下の関係がフラットすぎるのではないか、と思われるかもしれません。その通りです。フラットになってほしいのです。上下関係を、やめてください、と言っているのです

「適職探し」「天職探し」を捨てよう

若手世代が受けた教育とそれによって生まれた異なる認識は、マネジャーならぜひ知っておきたいところ。なかでも、

感情的になって話をすることは、「人として、やってはならない、恥ずべきこと」というぐらい否定的にとらえている人が多数派

という記述は、インパクトがありました。ぜひ、読んでみてください。

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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