金融緩和がいけない理由
景気後退局面になると、出口戦略を行う米国やEUとは金利差がある。このことで円安になり、輸入物価が上がりインフレが起きる。しかし、景気後退であり、給与は下がり失業者は増えていく。この現象はスタグフレーションである。国民の生活はますます困窮していくことになる。
この時、日銀はより大きな量的緩和ができるのかというと、すでに国債を買いすぎて、国債市場は機能低下しているし、市中に国債がない。
もう1つがETF買いであるが、現状はPER14倍であり株価はまだ低い位置にあり、買っても問題がないが、景気後退で企業業績が低迷したとき、PER20倍以上となる。この時、ETFを買い続けると株価が下がらず高すぎで、個人投資家も外人投資家も買えない。このことで東京市場の機能低下を起こすことになる。
このため、高いときには売り、低いときには買うというようなルールを作らないと、東京市場の機能低下や機能不全になってしまう。
日銀の量的緩和期間は、長すぎである。金融政策に頼りすぎているのがアベノミクスであり、3本の柱があったが金融緩和のみに頼ったことで、大きな問題が起きることになる。金融緩和だけで景気を維持させて、社会構造の改革もできず、新産業も生み出せなかったことで、アベノミクスは失敗である。
日銀の金融緩和、量的緩和は、経済崩壊までの時間を延ばすことはできるが、経済再生、経済復活には社会構造の改革やイノベーションが必要なのに、それを十分に行わなかったことによる咎めを受けることになる。
どうすればよいか
何を目指すかである。経済成長を目指すことは無理である。日本は世界でも成功している貧富の差の少ない国であるし、それを目指すことである。しかし、個人のやる気は維持して全員が将来への希望を失わない社会にすることだ。このため社会主義国ではない。
この目標を実現するために、日本は将来の社会構造を選択する必要がある。人口減少の対応策を打たないと、社会保障制度も崩壊する危険がある。
このため、高所得な移民として米国のIT企業の本社を日本に移すにしても、高収入の外国人を増やすにしてもメイドなどの単純労働者が必要であり、国際化はすべての分野で必要になる。
また、国の税制を福祉国家的にする必要があると思う。日本の治安の良さも貧富の差が少ないことによるので、それを維持する必要があるとみるかどうであろうか?
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