読売さえも「安倍一強の慢心」。自民党大敗を新聞はどう伝えたか

 

「安倍政治」への怒り

【東京】の社説は都議選絡みで2本。1本は自民党に対して、もう1つは都民ファーストの会に対して書かれている。取り上げるのは1本目。タイトルには「『安倍政治への怒りだ」、とある。

uttiiの眼

他紙と印象がかなり違う。まずはリード的に前置きされた部分で、「『安倍政治』を断じて許さないという都民の怒りを、深刻に受け止めるべきである」と挑発的だ。中身に入ると、まず指摘するのは、安倍氏が街頭で応援演説に立つことがほとんどできなかった点。初め、首相は、都議選の課題は「都民が直面している地域の課題」として国政との分離を図ったが、それはかなわなかった。むしろ都議選は、「それに続く国政選挙の行方を占う先行指標になってきた」というのが現実であり、自民党自身も前回は「準国政選挙」と位置付けていた。そして、「共謀罪」法の採決強行に見られるような強引な国会運営があり、森友・加計学園問題では疑いは最後まで払拭されなかった。豊田真由子議員の暴力と暴言、稲田防衛大臣自衛隊政治利用の発言。社説子は、「問われているのは、民主主義の基本理念や手続きを軽んじる安倍政権の体質そのものだ。それを改めない限り、国民の支持を取り戻すことは難しいのではないか」と突き放している。

金子兜太氏の「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズは、安保法制を強引に通した頃の政権に対する批判として登場した。今回、《東京》が「安倍政治」と書いているのは、その後の出来事を加味し、現在の政治状況を象徴させたものだろう。通常国会閉会後の支持率急落で、不支持の理由のうち最大のものが「首相の人柄が信用できない」ことだった(約40%)ことに示されるように、不支持に転じた有権者は、個々の政策について判断したというよりも、まさしく、「安倍晋三」という人が総理を務めていることに対して拒否感を抱き、あるいは嫌悪の情を催したということだろう。有権者の中に、「安倍総理は信用できない」と考える人が増えていること、これは政権にとって何よりも深刻な事態なのだと思われる。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。これでも「短め」を心掛けました。都議選の先については、小池氏が国政に挑戦する道筋についての各紙の「想像」が展開されていますが、ここで扱うのは時期尚早と判断し、こんな中身になりました。

 

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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