【書評】働けない人は死ぬ。リタイヤすらできない日本の高齢者

 

調査と分析、問題提起は現場をよく知る人だからさすがに手慣れている。しかし、帯にある「『死ぬ直前まで働く』社会が始まる!! 下流老人は過労で死ぬ!? ではいま、何を選択すべきか?」という自らの煽りに対する明快な回答が示されているかといったらそうでもない。海外と比較してもしょうがないと思う。

「いずれにせよ、年金の給付水準はいま以上に下がっていくし、安定的に雇用される高齢者の数にも限りが出てくる。そうなったときに、そこから漏れた人は全員生活保護か、もしくは死ぬしかないといった極端な選択肢しか選べない社会にならないよう、多様な働き方とそれを支える制度を整備していく必要があるだろう」と、じつは前半で早々と結論が出ている。

「このような自己責任型の社会から脱却するには、社会保障のイメージを根本的に変える必要がある。例えば、食料の配給や生活費の援助、安価で安全な住宅供給や家賃補助、子育て世帯の手当や教育費の減免、さらに水道光熱費や通信費といったインフラの定額利用に至るまで、生活に必要なものが税で用意されていたらどうだろうか。これらを社会保障で用意し家計の支出を下げられれば、どれほどの人が助かるだろう。あくせくと過酷な労働条件のもとで働く必要性は減るのではないだろうか。あるいは年金や賃金が少なくとも、今よりも安心して生活できるのではないだろうか」というのが、著者のひとつの提案である。これだけかな?

確かにそうなればいいけど。その財源をどこに求めるのか。著者の主張は全体を通して、老人が働く世の中になるのはバッド、働かなくても安泰の老後がグッド、というかんじである。日本亡国に導こうと必死の、朝日新聞のいう「移民政策の導入にまでは踏み込んでいない。日本人の高齢者が働く世の中のほうがどれだけベターなことか、次回はそのへん発言してくれ。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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