血流状態が見せるくま
目の周りの皮膚はよく動くところで、薄いのが特徴です。さらに、真皮層下には脂肪が殆どないため、筋肉とその血管網が見えやすい状態です。この部分の血行が滞留すると、血液が透けて見えています。表皮直下の毛細血管網なら赤く見えますが、さらに深い部位だと青み~青紫っぽく、くすんで見えます。これが血流状態が見せるくすみであり、くまです。低血圧の人に顕著なのも特徴です。
判定は?
注意しないと解りませんが、濃く見えたり、薄くなって見えたりと日により色調の変化が見られます。くすんだ部位を指で軽く押さえると、滞留した血液が移動し、くすみのない白さが現れます。
対策は?
マッサージは血行を良くする常識のようにいわれていますが、血行を良くするがために強いマッサージをしていては、肌の美しさが損なわれてしまいます。また、皮膚の薄さを考えると、皮膚も血管網も、逆に傷むことの方が多いのです。
では、どうすれば良いのでしょうか?代表的な対策を4つ挙げておきます。
1.目の周囲には、マッサージをすべきではない
毎日の洗顔や、手入れ時に自然に行われている程度で肌には十分よい刺激(マッサージ)となります。積極的にマッサージを取り入れたい場合、入浴時の温水(40℃以下)・冷水(20℃以上)の交互刺激による温冷マッサージが肌に優しくて良いでしょう。
2.目の周りが受けるダメージをチェックする
まず紫外線は、毛細血管や血管を直接傷める最大のダメージです。UVケアがこの部位には疎かになりがちです。乾燥・酸化・冷気などのダメージも、毛細血管を萎縮させたり不自然に拡張させています。つまり、肌管理の基本に注意ということです。
また、摩擦のダメージもあります。アイメイクに使用するブラシの質と、その使い方次第で肌を傷め、毛細血管に刺激を与えていることもあります。ブラシを使用する場合は、良質のものを選び、優しく触れるように心がけましょう。
3.血行を良くするためにビタミンを強化する
毛細血管を作るのに役立つビタミンCは不足しがち。水溶性だから排泄されてしまい、摂り貯め出来ないからです。ビタミンEは血流を良くするだけでなく、女性美を作るビタミンといっても良いものです。どちらも意識して摂取したい微量栄養素です。
4.疲労を取る・体調を整える・ストレスを貯めない
睡眠不足や疲労、体調の崩れ、精神的ストレスが血行を悪くしています。血管は、身体の状態や心の状態の影響を受けやすい器官です。
顔面や頭部の血管網は様々なストレスを受け、緊張した状態から戻らなくなっていることが多くあります。緊張がいけないというのではなく、緊張したら弛緩も必要だと考えてください。
運動とまでいかなくても、ちょっとした体操を取り入れるだけで、自然に顔面や頭皮の緊張は解けます。人との楽しい会話も有効な手段です。日常生活を見直してみましょう。
メラニン(色素)増加によるくま
メラニン増加によるくまは多く、美肌塾の読者にも悩んでいる方がたくさんいらっしゃることでしょう。なぜか日々のメラニン生産量が増え、表皮内のメラニン色素も多くなっています。黒っぽいというより、淡い褐色のものが大半です。中にはグレーの色相もあります。
一方、太田母斑(あざの一種)の場合は、表皮層ではなく、本来メラノサイトが存在しない真皮層で、なぜかメラニンが生産されています。これがくまに見えることもあります。この場合「血流状態が見せるくま」と似た青みを帯びて(褐色が混ざることも)います。
判定は?
血流状態によるくまに比べると、濃淡変化のないのが特徴です。指で押しても白くはなりません。メラニンの色調だからです。
対策は?
目の周りは表皮も真皮も薄く、ダメージに対しても過敏・過剰で繊細な部分です。メラニンの発生は、紫外線を初めとする様々なダメージを肌に受けたり、心身の状態が不調になると生産量が増える仕組みになっています。
対策は「血流状態が見せるくま」1.~4.と同じことが言えます。
但し、太田母斑の場合は、濃くなることはあっても、薄くなることはありません。
以下、「メラニン(色素)増加によるくま」に関して、よくある間違いと正しい考え方を列挙します。
・ビタミンCは血管を作る材料であるだけでなく、表皮で作られたメラニンを還元して色を白くします。また、血行が良くなると肌は安心し、メラニンの生産量も減少します。しかし、肌からビタミンCを取り込もうなどとは考えないでください。経口摂取が基本です。
・治療目的以外の自己流ピーリングや、美白剤・紫外線吸収剤の使用でシミを作り、くまに見えているケースも多くあります。本物の美肌を目指すなら、これらの選択肢は、けっして考えてはいけません。
・太田母斑(あざ)の場合、レーザー治療が有効です。化粧品で何とかなるものではありません。ご注意を。
今日のサッポー美肌塾まとめ
・目の下のくまは三種類、影・血流滞留・メラニン増加
・くまの種類を判定してから取り組むのが鉄則
※今回の講義は「サッポー美肌塾」第40号をリメイクしたものです
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