吉野家とすかいらーく異例の業務提携に学ぶ、美しき顧客第一主義

 

すかいらーくホールディングスとの提携

もう一つのチャレンジが、吉野家ホールディングスと、すかいらーくホールディングスが発表した、吉野家とガストすかいらーくで使える共通の割引券発行である。

日本経済新聞8月24日号によると、そもそも、外食産業のビジネスモデルは、店舗数を増やし、規模を大きくしていくことで、全体の売り上げをあげながら、共通でかかってくるコストを減らし、効率を上げることで、利益を改善していく、という形だった。

一方で、ここ最近このビジネスモデルでは、人手不足など競争の激化もあり、これまでのような成長が難しくなっていることも事実だ。そこで、既存店の集客力を高めようと、牛丼チェーン店2位の吉野家と、ファミレス最大手のすかいらーくがタッグを組むと、異例のことに、私も若干驚いた。

吉野家と言えば、安い早いうまいの3拍子、というキャッチフレーズでビジネスを進めてきた。同じように、すかいらーくグループも、家族みんなで、リーズナブルに楽しめる食事を提供する、というモデルでそれぞれ成長してきた。

どちらも、これまでの戦略では、いかに価格を下げることができるかが勝負で、特にデフレ下においては、「他店よりもいかにやすいか」というインパクトを提供する競争が、勝負の分かれ目だったのだ。

この2社のタッグは顧客が来客する時に、お互いを紹介し合う、「相互送客」という形をとる。例えば、ガストに来て何かを注文した際に、お客様に吉野家のクーポン券を差し上げる、ということになる。これにより、顧客には、クーポンによる値引きが提供され、吉野家やガストには、お互いの店舗への相互の送客が見込める、ということになるのだ。

このような相互送客は、これまでは、自社グループ内の各企業の間や、商店街にある個人店舗同士で行われてきた手法である。すかいらーく経営陣のコメントに、「航空会社のアライアンスに似ている」というのがあったが、まさに私もその通りだと思う。

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