数多くの名高い旧跡が点在する京都ですが、訪日海外観光客効果もあり「ブランドスポット」はどこも大混雑で、京都嵐山に至ってはもはやすれ違いもできない程です。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者で京都通の英 学(はなぶさ がく)さんが、穴場なのに実はすごい、そんな名所の一つ宇治上神社の魅力を紹介しています。
宇治上神社
今回は世界遺産に登録されているものの、あまり知られていない宇治上神社について簡単にご案内します。
宇治上神社は平等院の鎮守社として長く崇拝をされてきた神社です。平等院鳳凰堂の阿弥陀坐像のほぼ正面に宇治川を挟んで建てられています。正式名称は「宇治離宮明神」で明治維新後に宇治上神社と宇治神社に分かれました。「離宮明神」は醍醐天皇が平等院を訪れた折りに与えた神位と伝わります。
宇治神社は参道を右に、宇治上神社は左に朱塗りの鳥居が見えてきます。鳥居をくぐると正面に拝殿が見えてきます。拝殿の前には円錐の盛り砂が盛られています。清めの砂と呼ばれているものです。神様の依り代となるもので神社を清める役割があります。正月など祀りごとの時にこの砂をまいてお祓いします。
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この拝殿の建築様式は平安時代の遺構です。当時の貴族の邸宅の様式を今に伝えています。神社の拝殿が平安時代の貴族の邸宅の建築様式なのはとても珍しいことです。
屋根は海を吹く風のように美しい「縋破風(すがるはふ)」といい、さざなみのような形をしています。本殿の内部は拝観はできませんが、一間社流造り(いっけんしゃながれつくり)となっています。左右の社殿が大きく、中央が小さい珍しい形なので注目して見てみてください。
中には応神天皇、仁徳天皇、菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の三人の神様が祀られています。菟道稚郎子は応神天皇の跡継ぎとして皇太子となった人物です。菟道稚郎子は、学問の神として信仰されていることから、学業成就、受験合格祈願をする参拝客が後を絶ちません。
掲題にある手水舎からは桐原水(きりはらすい)が湧き出ています(飲めません)。宇治では唯一の名水となっていますが、残念ながら飲料不可です。ただ宇治に湧き出す他の水は枯れてしまったことを考えると、この場所はやはりパワーがあるのでしょう。
いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。
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