米中覇権戦争のさなかに両国の顔色を窺う日本を待つ暗すぎる未来

 

ファーウエイの孟晩舟副会長が逮捕された12月1日、習近平氏はトランプ大統領が宿泊したブエノスアイレスの最高級ホテル「パラシオドゥハウ・パークハイアット」を訪れ、夕食をともにしながら会談した。

時事通信によると、米国は年明けに予定した対中追加関税の25%への引き上げを当面凍結するかわりに、交渉期限を90日として知的財産権などについて協議を始めることにしたという。

向こうから会いに来た習近平氏にトランプ氏が配慮したかたちだが、中国側がよほど譲歩しないかぎり米国は一歩も引かないだろう。習近平の独裁体制にヒビが入りはじめた今が、中国の膨張を抑え込む最大かつギリギリのチャンスとみているからだ。

こうしたなか、12月1日の安倍・習近平会談で、習近平主席は「日本が引き続き中国の改革開放のプロセスに参加し、中国の発展の新たなチャンスを共有することを歓迎する」と呼びかけたが、安倍首相はトランプ大統領に気を使い「中国と多国間の問題で交流・協力を強化できるよう望んでいる」といつものお題目を唱えるしかなかった。

欧州で最も中国との取引の多いドイツ企業も米中との板挟みの中で苦悩している。ファーウエイをはじめとする中国企業の技術的進歩により、これまでのように中国の成長がドイツ経済の発展につながるという構図を描くことはできなくなっている。「ウィン・ウィンの新しい意味は、中国が二度勝つことだ」というドイツ企業関係者の嘆息も漏れる。

日本はどういう方向をめざすべきなのか。人権無視の中国共産党が世界の覇権を握るのは悪夢である。さりとて、米国の言いなりになる属国のごとき立場からいつまでも抜け出せないのも問題だ。安倍首相にいたっては、さして必要とは思えない米国製ステルス戦闘機F35を105機も購入することを決めてトランプ氏の機嫌をとる始末である。

米中覇権戦争の渦の中で迷っているのが日本の現状であろう。迷いは間違った判断を生みやすい。中国の成長に期待して儲けを考える習わしからもそろそろ卒業しなければ、大変なことになるかもしれない。

image by: AL hutluht / Shutterstock.com

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