睡眠を削って勉強した子が、発想の乏しい「コピペ人間」になる訳

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寝ている人は、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返していて、レム睡眠のときに夢を見ます。このレム睡眠の重要な役割について教えてくれるのは、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で、現役医師の徳田先生です。先生は、特に睡眠6時間後から2時間のレム睡眠の質がクリエイティブな発想力を養うと言います。そして、睡眠時間を削って勉強に励んだ学生たちは、成績は良くてもアイデアに乏しい人間に育ってしまうと警告しています。

ノンレム睡眠の役割

睡眠のフェーズには2つの種類があります。ノンレム睡眠レム睡眠です。人間の睡眠では、90分間でこの2つのフェーズが合わさって1サイクルを成しており、このサイクルが繰り返されています。睡眠全体のうち、前半のサイクル、すなわち、夜ではノンレム睡眠がほとんどです。そして、睡眠後半の明け方近くのサイクルではレム睡眠が長くなります。

私たちが夢を見るフェーズはレム睡眠です。もともとレムとは「急速な眼球運動」のことです。このフェーズでは、ひとは外界を眼で見て認識をしてはいないものの、急速な眼球運動をしています。脳波をみると、脳が活発に活動していることがわかります。眼球の急速な運動は活発な脳活動を反映しているのです。

ノンレム睡眠とレム睡眠の役割はそれぞれ異なっています。ノンレム睡眠には記憶を完成させる働きがあります。日中に習得した情報や知識は脳の奥にある海馬に一時的に貯蔵されます。海馬は短期記憶の単なる一時的な貯蔵場所であり、神経細胞の数も限られているので、記憶を完結させるためには、大脳皮質に転送しなければいけないのです。そこで、睡眠が必要です。ノンレム睡眠によって大脳全体にうまく配分されて長期記憶として保持されます。

レム睡眠の役割

睡眠後半の明け方近くの睡眠サイクルではレム睡眠が長くなります。レム睡眠は、記憶された情報や知識を様々な組み合わせで結合するフェーズです。急速な眼球運動をきたすほどの活動が脳内で展開しており、人は夢をみます。脳は意識せずとも、新しいアイデアを生み出しています。質の高いレム睡眠はクリエイティブなイノベーションをもたらします

睡眠の後半の最後の部分で、私たちの睡眠のほとんどがレム睡眠に入ります。8時間の睡眠時間の中では、最後の2時間のほとんどが知的活動においてクリティカルなレム睡眠フェーズとなります。これを堪能した睡眠をとった人は無意識に素晴らしいアイデアを生み出す可能性が高くなります。数学の難問を解く実験では、徹夜グループとレム睡眠十分の8時間睡眠グループでは、レム睡眠群が有意に高得点を示していました。

睡眠時間が6時間の人はこのクリティカルピリオドを味わっていないことになります。有名大学の受験生はよく短時間睡眠でガリ勉をしてしまいます。ノンレム睡眠中心となるため、知識の記憶にはある程度順応できます。知識の記憶が重視されていた時代ではそのような人間は一定の評価がなされていました。

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