3.形式研修の穴
大企業や官公庁での研修には高名な専門家が呼ばれることが多いのでしょう。しかしコンプライアンスや危機管理対策において、もっとも重要なことは日常性です。常日頃からの業務において、当然起こり得る事態を想定し、それに対してどう行動すべきかという具体性のない研修は意味がありません。
さまざまな法律の説明や大がかりな危機対応など99%の社員には意味がありません。
芸能界と反社会性勢力が持ちつ持たれつの関係であったことは歴史上の事実でしょう。それは芸能界が悪いのではなく、興業という手法において伝統的な必要性があったからです。ここを隠したり、過去を批判することには何の意味もありません。
そうではなく芸能界を含む社会規範が変わってきたこと、ハラスメントに代表される、「かつてはOKだったこと」がもはや認められなくなったことをいかに認識させるかが大切なのです。
かつて運動部の練習中に水を飲むことは厳禁でした。ウサギ跳びも足腰鍛錬とともに根性を養う苦行として広く認識されていました。しかし今、こんなことは絶対に認められません。反社会性勢力との関係性も時代が変わったのです。反社会性勢力自体が、その見た目や組織形態を変え、むしろ芸能界以上に社会適応して存続を図っています。
芸能界、大企業、官公庁といった立場の人たちにこそ、現実を知り、現実的な思考ができる研修がなされなければなりません。
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image by: 吉本興業
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