これほど税金の抜け穴があるのは先進国では日本だけ
これらの「試験開発減税」や「外国子会社からの受取配当の益金不算入」以外にも、法人税には様々な抜け穴があります。それが、日本の税制を大きく歪めているのです。
日本の税制では「租税特別措置法」という変な法律があります。「租税特別措置法」というのは、当初は税負担が公平になるように、収入が少ない業種などに特別な恩恵を与えるということでつくられたものですが、現実には、大企業や圧力団体を持つ業界が、政治陳情を行い、特権をもらうという制度になってしまっているのです。
この「租税特別措置法」のような制度は、日本以外の先進国には見当たらず、日本特有の制度だといえます。他の先進国も、一部の人たちに税制の優遇措置を講じるようなことはたまにありますが、日本のように税収に大きく影響するような「特別扱い」はありません。
この結果、日本では、大企業や富裕層の「名目の税率」は世界的に見て非常に高い状態になっているのですが、実質的な税負担率は非常に低い状態になっているのです。「日本の法人税は世界的に高い」とさんざん吹聴してきた政府の御用学者の方々には、ぜひ「租税特別措置法」の影響までを含めたところでの法人税負担率を語っていただきたいものです。
日本の法人税が実質的に低いことは、日本企業の内部留保金を見てもわかります。日本企業はバブル崩壊以降に内部留保金を倍増させ446兆円にも達しています。また日本企業は、保有している手持ち資金(現金預金など)も200兆円近くあるのです。これは、経済規模から見れば断トツの世界一であり、これほど企業がお金を貯め込んでいる国はほかにないのです。
アメリカの手元資金は日本の1.5倍ありますが、アメリカの経済規模は日本の4倍です。だから経済規模に換算すると、日本の企業はアメリカ企業の2.5倍の手元資金を持っていることになるのです。世界一の経済大国であるアメリカ企業の2.5倍の預貯金を日本企業は持っているのです!だから、本来、増税するのであれば、消費税ではなく、法人税であるべきなのです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)
image by: Imagepocket / Shutterstock.com
※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年7月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
初月無料購読ですぐ読める! 7月配信済みバックナンバー
※2019年7月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、7月分のメルマガがすべてすぐに届きます。
- 「サラリーマンが消費税の還付を受けるスキーム」「日本の法人税は世界的に高いというウソ」(2019/7/1)
こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー
※初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。
2019年6月分
- 「フリーランス、中小企業が消費税を免れる方法」「少子高齢化は人災である」(2019/6/16)
- 「E-TAXをやってみた」「消費税のラスボスは財務省」(2019/6/1)
※1ヶ月分324円(税込)で購入できます。