幻想的な雰囲気なら、後祭の宵山を。祇園祭、京都通の愉しみ方

 

話を祇園祭に戻します。

なぜ神泉苑に矛を立てるようなことをしたかというと、当時は矛には悪いものを吸収する力があると考えられていたようです。時代が進むにつれ、八坂神社の氏子達は街に漂う悪いものを引き寄せて綺麗にしようと、矛を持って街中を巡廻するようになります。これが現在の山鉾巡行の原型になったと伝えられています。具体的には平安時代中頃から除々に規模が拡大していったようです。

現在のようにより豪華に、より巨大になったのは室町時代からです。室町時代は京都を中心に経済が発展した時代でした。山や鉾を出す町衆達が裕福になるにしたがって装飾も華やかになっていきました。そして次第に各々が競い合いように山鉾を豪華にしていったのです。山鉾をより豪華に飾り、大きくすることで町衆たちは経済力をアピールするようになりました。そのおかげで、現在は「動く美術館」といわれるほど美しい姿を見ることができるようになり、ナント2009年「京都祇園祭の山鉾行事として世界遺産にも登録されました。

祇園祭一番の見どころである山鉾巡行はまさに豪華絢爛です。特に曲がり角で山鉾が方向転換する「辻回し」の瞬間にはとても迫力があるため沿道から歓声が沸きあがります。

山鉾巡行前のお楽しみは宵山です。宵山とは祇園祭のメインとなる山鉾巡行(7月17日・24日)の3日前・前々日・前日のことをいいます(祇園祭の神事や行事の日程は毎年同じです)。簡単に言うと前夜祭のようなものです。地元の人は前日を宵山、前々日を宵々山(よいよいやま)、3日前を宵々々山(よいよいよいやま)などと呼んでいます。なので前祭と後祭の山鉾巡行(17日・24日)とそれぞれ3日前からの宵山(14日・15日・16日と21日・22日・23日)、計8日が1カ月続く祇園祭の中でも一番盛り上がるコアな期間となります。

そして宵山でも前祭と後祭とでは雰囲気が違います。前祭の宵山は、15日と16日の夕方から歩行者天国になり、露店が沢山並びとても賑やかになります。一方で後祭の宵山は、歩行者天国や露店の出店はなく、祇園祭本来の幻想的な雰囲気を感じながら落ち着いて散策することができます。

祇園囃子(ぎおんばやし)の演奏に耳を傾け、建ち並ぶ豪華絢爛な山鉾を見ながら歩く時間はとても印象的で忘れられない思い出になるでしょう。

image by: Shawn.ccf / Shutterstock.com

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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