現役30年のアナウンサーが実践。「んーーー」で磨く自分の「声」

 

その1-1 まずは、滑らかな美声を目指そう

ひとくちに声の存在感といっても、いろいろな在り方があります。だみ声やハスキーボイス、鼻声が、魅力になる場合もありますが、まずは、一番自然に出る声を、「張って」出せるようになることを目指しましょう。

滑らかに出る声に対するものとして、ハスキーボイスや鼻声という例を出しましたが、この両者の違いは、ひっかかりがあるかないか、です。

ここで言う、ひっかかりの「ない」滑らかな美声とは、声帯をピンポイントで震わせて出せる声のこと。ピンポイントで震わせるため、使う息が少なくても密度の濃い音が出ます。お坊さんの読経をイメージしてください。

それに対してハスキーな声は、声帯の震える部分がピンポイントでなく多面的になることで、密度の薄い音になります。その密度の薄い音を、なんとか大きく出そうとしてしまうと、使う息が多くなり、また、余計な力が必要になるため、声帯に負担がかかる発声になってしまうわけですね。

また、一音に必要な息が多くなるため、場合によっては、話しているうちに息が足らなくなり、呼吸が浅くなるほか、滑舌が悪くなる原因にもなる可能性があります。

もちろん、声帯に負担をかけながら声を作って、演技に活用したり、ヴォーカルを個性的にするような利用法もありますが、まずは負担をかけない発声が、美声の基本だと認識しておきましょう。

その1-2 ピンポイントで声帯を震わせるにはどうすればいいか?

ではここで、ピンポイントで声帯を震わせる練習として、私が取り入れている方法をご紹介しますね。

それは、あいうえおかきくけこ~みたいな、母音も子音も、出さないで、口を閉じたまま、「んーーーー」と、喉の奥に音を響かせる練習です。

母音にしても子音にしても、発音しようとすると、余計に息を使ってしまい、本当にピンポイントに声帯を震わせる感覚が、掴みにくくなってしまいます。まずは「んーーーー」だけで、滑らかで艶のある音を作ってみてください。

おそらくこれが、一番少ない息で、声を出せる方法になります。使う息が少ないですから、この声ですと、声量も少ない状態です。そこで先ほどの「んーーーー」を「んっ!」「んっ!」「んっ!」と、細切れに強く出す練習をしてみてください。

ひとつひとつこの音を出しているときに、その都度、お腹まで動くのがわかりますでしょうか?これが、いわゆる、腹式呼吸で発声している状態。一音一音出すごとに、きちんと横隔膜を動かす発声法になっています。

これなら、腹式呼吸とはなんぞや?がわかりにくくても、腹式呼吸状態の発声をすることができるんですね。腹式呼吸状態の発声では、使う息が少ないまま、張りのある声が出るようになるため、張った時の声の通りが良くなり、滑舌まで改善される可能性があります。

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