中国の思う壺。尖閣への中国公船侵入を伝えぬ日本マスコミの愚

 

香港デモでは、8月13日、香港空港を占拠したデモ隊が人民日報系の環球時報の記者をデモ参加者に扮した警察官と疑って殴るという事件がありました。これに対して中国政府は「テロに近い行為だ」などと批判し、中国メディアは連日、殴られた記者を英雄として讃える記事を掲載しました。

ところがこの記者について中国情報機関の工作員だという見方が内外で広がったため、礼賛記事は一気に沈静化、まったく報じられなくなったそうです。

〈香港デモ〉殴られた記者は工作員の可能性、中国当局 突然報道を沈静化

香港では、デモの参加者に変装した警察官が若者らを拘束した事件もあり、警察が記者になりすまして情報収集しているとの疑念が深まっています。

香港のテレビ局は、同社のロゴが入ったベストを着て取材する男性の写真を公開し、「当社とはまったく関係のない人物だ」と注意を呼びかけました。

香港デモにニセ記者出没 大量の虚偽情報、SNS凍結も

中国の工作機関関係者が、メディアを偽り、香港デモを取材すると称して、混乱や過激化を煽動、これを批判する世論をでっち上げるという自演自作を行っているわけです。いずれ人民解放軍が香港に介入するために理由を積み重ねているのでしょう。

しかし、その手口は次第にバレ始めており、ツイッターやフェイスブックも中国政府の関与を明言するようになっています。

一方、中国はこれまで、台湾いじめも情報操作もコソコソやっていましたが、だんだんと堂々と公にやるようになってきています。それは、コソコソする余裕がないのか、脅しの意味も含めてわざとなのかは分かりませんが、どちらにしてもやり口が雑だとしか言えません。

このメルマガでは、これまでも台湾における中国当局によるフェイクニュース流布について解説してきました。とくに2020年1月には総統と政権政党を選ぶ台湾総統選挙および国政選挙があります。現在の台湾でも中国からのフェイクニュースが氾濫しており、蔡英文総統も警戒を呼びかけています。

蔡総統、中国のフェイクニュース拡散の動きに警戒感/台湾

さらに、関係が悪化の一途をたどっている米中関係ですが、台湾への戦闘機売却を決めたアメリカに対して武器売却の取り消しを要求しています。

中国、米に取り消し要求=台湾への戦闘機売却

取り消し要求の大義名分としては、「中国の主権と安全保障上の利益を損なうもの」としていますが、その実は、アメリカに長期滞在したり武器購入を決めたりして親密さを増している米台関係に嫉妬からではないかとの噂もあります。

さらに、深センを香港よりも魅力的な都市にするとも宣伝しています。

中国、深センの開発計画発表 「香港より良い場所に」

いったい中国は、誰と競っているのでしょうか。国内問題そっちのけで台湾や香港を混乱させ困らせるような真似をし、アメリカには八つ当たり的な要求を何度もし、すべてを敵に回しています

香港の林鄭長官を失脚させて新しい人物を長官にさせたところで、混乱は収まらないし、そもそもこんな状況下で中国と香港の板挟みになりたがる人材はいません。

しかし、中国政府が少しでも柔軟な態度を取って、香港人の要求に対して譲歩を示せば事態は簡単に打開されるのですが、それができないのが一党独裁をどうしても死守したい中国共産党の愚かしい点です。

中国共産党としては民主主義などもっての他で、自らの独裁維持のためには、問題を武力と権力で解決するしかできないのです。譲歩や理解は一切ありません。中国の自業自得による混乱はどこまで拡大するのでしょうか。

中国が、歴史やスポーツだけでなく、芸能活動や観光までも政治利用することは、近年広く知られるようになりました。

そのきっかけとなったのは、中国人による韓国旅行禁止からでした。その理由は、韓国が中国の反対を押し切って在韓米軍に高高度ミサイル防衛システムTHAADを導入したからです。

こうした観光業の政治利用は、習近平体制の言論統制やデジタル管理を強化するためにプラスになっています。一方で、台湾や日本など渡航を禁止された地域においては、観光客の質の向上をもたらしています。

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