国民の命より大企業の儲け。「除草剤」規制緩和が示す日本の姿勢

 

話が横道にそれた。健康・長寿は、食材の種類というよりも、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルが過不足なく摂取されるかどうかにかかっているわけで、特定の食材が特に健康にいいわけのものではないのだ。何を食っても寿命にさして差が出るわけのものではない。但し、放射性物質が入っている可能性があるもの農薬漬けのものは避けた方が無難である。

多国籍バイオ科学メーカー・モンサントが開発した除草剤のグリホサート(商品名ラウンドアップ)を、長年使用していたため悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)を発症したとして、同社を訴えていた複数の裁判で、2018年8月に出た2億9000万ドルの損害賠償金の支払い命令に次いで、2019年3月にも、8000万ドルの支払い命令が出て、2018年6月にモンサントを買収したドイツのバイエルは窮地に立たされて、株価が急落した。訴訟は1万8000件を超えており、泥沼になることを恐れたバイエルは、和解のために80億ドル(8500億円)を支払う方針だというニュースが最近になって伝わってきた。

EUではこれを受けてグリホサート禁止の動きが加速している。あろうことか日本では、2017年12月にグリホサートの使用規制を大幅に緩和し、ソバで従来の150倍、ヒマワリに至っては400倍に緩和した。家庭用のラウンドアップは100円ショップなどで売られていて、安全だと信じ込まされている人も多い。日本のマスコミはそういう国民の安全に関する重要情報は全く流さない。国民の健康よりも大企業の儲けの方が重要だと思っているようだ。

EUで福島第一原発のような事故が起きたら、訴訟ラッシュで原発の会社は何兆円にも及ぶ賠償金の支払いを命じられると思う。原発を推進した政府自民党も、東京電力も、一切責任を取らない国は異常である。口を開けば、食べて応援とか、風評被害とか言って、一般の消費者のせいで福島の復興が進まないかのような言説を流す政府と、その広報機関のマスコミに支配されて、日本はどんどんドツボに嵌っていく。

image by: Shutterstock.com

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