経営戦略に関する言葉
最後は、経営戦略に関するものです。代表的な戦略書『孫子』からも一つ抜き出しておきました。
善(よ)く戦う者は、これを勢に求めて人に責(もと)めず
孫子の兵法は、本当に経営者に参考になることばがたくさんあります。この言葉もその一つで、組織の動かし方についてです。意味は「一人一人の能力や働きに、過度の期待をかけないで、組織全体の勢いを重視するのが良い戦い方だ」ということです。
もちろん、企業にとって社員一人一人の能力が高いことは良いことですが、それよりも組織全体が同じ方向に向かっていく方が経営はうまくいく、と言っているのではないでしょうか。そのために経営者やリーダーは力を使うべきだとも言っているのでしょう。
中小企業の経営者は、時に人材不足を嘆きます。しかし、中小企業には思った人材が集まるわけではありません。ですから、経営者はしっかりと組織の方向を指し示すことです。全社一丸となって動くことこそ求められています。
組織が小さいからこそ、それが出来やすいのです。
そこから優秀な人材も育っていきます。そんなことを教えられる言葉ですね。
天下意の如くならざるもの恒に十に七八に居る
そうなんです。この気持ちはよくわかります。思いどおりにならないことはしょっちゅうあります。この言葉は、中国晋代(265~316年)の羊枯(ようこ)という名将が、呉の国を攻めるときに言ったものです。なかなか作戦がうまくいかなかったのでしょうね。
私も子供のころから、親に「何でも思いどおりになるものではない!」と、よく叱られました。とはいえ、思いどおりになって欲しいと思うのも人情です。そこで、成功の法則のような本も読みあさりました。それで一時的にはうまくいくことはありますが、やはりうまくいかないことの方が圧倒的に多いです。ですから、思いどおりに行かないときには、この言葉をかみしめることにしています。
あなたはいかがでしょうか?
以上、中国古典から6つの言葉をご紹介しました。どれか心に止まった言葉はあったでしょうか。また折を見て第三弾をご紹介します。
■今日のツボ■
- 経営にはいくつもの分岐点があるが、立ち止まることも必要
- 経営がうまく行くかどうかは経営者の心と姿勢にある
- 個人ではなく組織全体で戦略を実行することが重要だが、思い通りにいかないこともあると心得る
image by: Shutterstock.com