韓国を襲う完全なる孤立。GSOMIA破棄とボルトン補佐官解任の余波

 

9月11日、トランプ大統領が自身の政権を支えてきたボルトン国家安全保障担当大統領補佐官を解任し、世界を驚かせました。これによって、イラン情勢、北朝鮮情勢の変化への期待と不安が囁かれていますが、元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんは、一歩進んだ見方をメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で示しています。それは、韓国及び朝鮮半島の国際的孤立が進むとの見方です。さて、どういうことなのでしょうか?

韓国を襲う完全なる孤立:ボルトン氏解任の余波?

9月11日、驚くべきニュースが飛び込んできました。アメリカ・トランプ政権のタカ派路線を支えてきたともいえるボルトン国家安全保障担当大統領補佐官が突然解任されました。

それもまた、トランプ大統領お馴染みのTwitterでの更迭だったようです。これまでにも更迭・解任は多数ありましたが、ボルトン国家安全保障担当大統領補佐官の“このタイミング”での解任は、荒れ狂う国際情勢に対して大きな影響・変化を与えそうです。

その最大の矛先は、イラン問題や北朝鮮問題ではなく、実は韓国をめぐる国際情勢ではないかと考えています。それはなぜか。カギはボルトン補佐官解任で対話の機運が高まると予想される北朝鮮情勢の行方と日韓のGSOMIAの破棄の行方です。

対イランの強硬姿勢と並び、ボルトン補佐官は北朝鮮に対しても強硬姿勢を崩すべきではないとの主張を行ってきました。様々な分析によると、シンガポールでの第2回米朝首脳会談が何も決まらずに物別れに終わったのは、国家安全保障担当大統領補佐官であったボルトン氏が、最後までトランプ大統領に対して、強硬姿勢を崩すべきではないとの助言を行ったことが最大の理由ではないかという、半ばスケープゴートにも思える、意見が強いようです。

実際には、北朝鮮側がアメリカの出方を見誤ったことと、両国とも、事務レベルでの調整を徹底せず、トップ間のやり取りに賭けて、具体的なディールを話し合い、クリエイティブな解決策を見つけ出すための準備ができていなかったことが主因だと考えますが、ボルトン氏を更迭するにあたり、責任を押し付けた形になりました。トランプ大統領の特徴ともいえますが、これにより、彼の周りからはどんどん優秀な“味方”が去ることになります。

北朝鮮サイドとしては、以前より、ボルトン氏の存在が、deal makingを難しくしていると考え、何度も米朝協議に関与させないようにアメリカに要求してきましたので、今回の解任劇は、両国間の対話への機運を高めるかもしれません。少なくとも“心理的には”ですが。

しかし、もし米朝間の対話ムードが高まり、二国間で直接的にdeal makingが進展するとどうなるか。確実に『仲介者気取り』の文大統領と韓国は“邪魔者”として、両国から遠ざけられることになるでしょう。実際に北朝鮮からは、昨今、非常に辛辣な言葉が韓国に浴びせかけられていますし、南北首脳会談で何度も“約束”したはずの金正恩氏のソウル訪問も、無期限に延期されたままです。

文大統領は何一つ北朝鮮のメッセンジャーとしての役割を果たせておらず、またトランプ大統領の意図についても誤った情報を金正恩氏に伝えたとして、「同胞でありながら、最大最悪の裏切り者」と文大統領と韓国政府を貶しています。

特に、「南北対話を推進し、共栄の朝鮮半島を作る」と言いながら、米韓軍事演習については一向に止める気配がない韓国に「二枚舌で全く信用できない」と、文大統領と韓国の横っ面を叩き、韓国切りを実行しています。

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