「トラブルが不安」の声も。相乗りタクシーが日本の定番になる日

 

ニアミーを考案した、NearMe(ニアミー)という会社は2017年7月に設立された。

代表の髙原幸一郎氏は、楽天グループのケンコーコム執行役員、フランスRakuten AquafadasのCEOなどIT企業でキャリアを積んで起業。切っ掛けには、自ら経験してきた非効率なタクシーの乗り方にあった。

「原体験として、以前は仕事が遅くなって、週に3回以上終バスを逃してタクシーを利用していた。1人ずつ乗っていくので長い行列ができ、とても非効率。雨が降ろうものなら最悪だ。同じ方向に行くのなら、乗りたい人がまとまって乗せたい人とマッチングすれば、もっと早く帰れるのにと、ずっと思っていた」と、髙原氏は何よりも自分が欲しかったアプリを開発したのだと強調した。

「ライドシェア」というサービスがアメリカから広がり、話題となっている。ウーバー(Uber)、リフト(Lyft)などといったアプリを使って、車で有償にて目的地まで送ってもらうサービスだ。しかながら、日本ではタクシー業者ではない普通の市民が、車で勝手に人を乗せて輸送して料金を取ったら、「白タク」という違法行為になる。ウーバーやリフトには、1人で利用するだけではなく、相乗りのサービスもあって、さらに安くライドシェアができる。

ニアミーの場合、ウーバーやリフトのように配車を行うわけではなく、タクシー会社と契約して相乗りするわけでもない。マッチングと相乗り分の清算のみをアプリを通して行うことで、日本にマッチした安価な割り勘型ライドシェアを提案していると言えるだろう。

現状の利用者は、最初に想定した通り、終電後、終バス後の深夜の帰宅が最も多い。

髙原氏の事業の構想では、相乗りタクシーは入口で、GPSを使った地域の瞬間的なマッチングには大きな可能性があるという。 

地域の交通では、たとえば高齢者の買物や通院、観光、花火大会などイベントからの帰宅などのニーズを探る。あるいは物流では、地域の集荷場から目的の家や事業所までの最後のお届けの部分を担ってドライバー不足の解消に貢献する、などといった今後の展開を考えている。

また、別途タクシー会社と提携した送迎サービスも始めた。8月27日より9人乗りのジャンボタクシーを使い、成田空港から都内9区(新宿、渋谷、世田谷、港、台東、墨田、千代田、中央、文京)の各ホテルを、AIを使った最適なルートで結ぶ、Wi-Fiを完備した「スマートシャトル」と名付けたエアポートシャトルを運行している。複数のホテルに立ち寄っての乗降が可能で、主にインバウンドの観光に役立てようという趣旨だ。

オンラインによる事前予約制で2日前までの予約が必要。飛行機の遅延によるキャンセル料は発生しない。アプリは日本語と英語の2ヶ国語対応だが、5ヶ国語まで増やす。決済はオンラインも可能。

定時・定路線のバスよりも小回りが利き、タクシーより安価な料金1人1回3,980円(税込)をアピールしている。

また、東急リゾートサービス と提携して、同様な9人乗りの スマートシャトルを使い、東急沿線のゴルファーをドア・トゥー・ドアでゴルフ場へ送迎するサービスの実証実験も間もなく行われる

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