「トラブルが不安」の声も。相乗りタクシーが日本の定番になる日

 

このニアミーを使ったタクシー相乗りの実証実験を行っているのが、新潟県長岡市。長岡市は人口約27万人で、新潟県では政令市の人口約79万人を有する新潟市に次いで大きい。中越地域の中心都市であり、日本三大花火大会の1つ、「長岡まつり大花火大会」が全国的に著名だ。

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実証実験は2クールある。最初の7月~8月のクールが終わり、10月~11月に2回目のクールを実施する。

趣旨としては、先進技術を持つ民間企業と共同で市民生活の向上を目指す、オープンイノベーションの一環であることがうたわれている。ニアミーが地方都市でサービスを行うのは初めてだが、市内には、長岡技術科学大学、長岡造形大学、長岡大学のキャンパスもあり、先端的な技術が受け入れやすい風土があるという。来年、長岡崇徳大学が開学して4大学が市内に集まる。長岡高等専門学校もある。

実証実験開始にあたり、6月21日に長岡市、ニアミー、長岡市ハイヤー協会の代表者が出席して記者会見を開催。県内の主要メディアに紹介された。また、長岡駅、各大学のキャンパスなど市内各所にポスターを掲示。「市政だより」の1面で特集し、11万世帯に配布。商工会議所の会員宛てに3,500部のチラシを配布した。その他にも、長岡駅前などでティッシュを配り、タクシーの中にもティッシュを置いて認知に努めている。

現状は、宣伝を行いながらも、夜の長岡駅周辺を除いてマッチングしにくい状況にある。「知らない人に自宅を特定されてしまうのではないかという不安感が拭えないようだ。自宅の近くで降りるように周知させていきたい。アプリの登録に顔写真が要るのかも検討したい」(長岡市地方創生推進部イノベーション推進課・加藤俊輔課長補佐)と、長岡市では次のクールに向けての課題を明確にした。

一方で、「タクシー利用者同士が現金をやり取りしないし、実際に会ってみて同乗を断るのも可能なので、トラブルは起きないと思っている」(加藤氏)と、アプリの安全性に関しては実証できたとしている。

出発地が同じで、目的地の方向が同じという条件で威力を発揮するアプリなので、市街から離れたスキー場にある「東山ファミリーランド」で10月12日~13日に開催される、音楽フェス「長岡米百俵フェス」の輸送にニアミーがどれだけ使われるのか、期待を寄せている。

長岡ハイヤー協会会長で相互タクシー社長の小川浩司氏は、「長岡でもタクシードライバーは高齢化していて、人手不足が深刻化している。住民の買物や通院、介護施設、空港からの送迎に、相乗りが活用できるのではないか。あと、夜の飲み屋街を開拓すれば相乗りしたい人は増えると思う」と、提案している。

高齢者にはクレジットの支払が疎まれている感もあるが、髙原氏は安全性の問題から、Suicaのような交通系電子マネーなどは検討の余地があるが現金での支払いは考えていないと断言した。

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