現役弁護士が明言、「解雇」は無効となることが多いという事実

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仕事中に会社のパソコンで私用メール…ついついやってしまっている方は多いかもしれません。当然ながら褒められた行為ではありませんが、会社がこれを原因に社員をクビにすることはできるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では現役弁護士の谷原誠さんが、「解雇無効」とされた意外な判例を交えつつ、解雇を言い渡された時に取るべき行動を記しています。

解雇は無効となることが多い

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

今回は、法律問題を扱います。

最近少し解雇の相談が増えています

前々から「辞めろ。辞めろ」と言われ続け、最終的に解雇される、ということであれば、労働者側もある程度予想できます。しかし、何の前触れもなく解雇だ」と言われることもあり、そうなると労働者としては、あまりに突然のことでどうしたら良いかわからなくなるものです。

会社側はいつでも労働者を解雇できると思っているかもしれませんが、実は、解雇は法律上無効となることが多いということをご存じでしょうか?

【参考記事】不当解雇を弁護士に相談した方がよい7つの理由

たとえば、過去には次のような裁判例があります。

従業員が私生活において、他人の住居に理由なく侵入したとして、住居侵入罪で罰金2,500円を科された、ということがあったため、会社は従業員を懲戒解雇しました。会社としては妥当な判断というようにも思えます。ところが、従業員が解雇が無効だと主張して提訴。結論は、解雇が無効だという判決になりました(最高裁昭和45年7月28日判決)。

理由としては、

  • 私生活上の行為であること
  • 刑罰が軽い
  • 会社の立場は工員であって指導的立場でない

ということです。

また、次のような裁判例もあります。従業員が約1ヶ月間の出勤日20日間において、会社から貸与されたパソコンを使用して、次のようなことをしました。

  • 就業時間中に39通の私用メールを送受信した
  • 会社内外に対して経営批判を繰り返し、メール中にCEOのことを「アホバカCEO」などと表現した

そこで、会社は、従業員に事情聴取を行ったが、反省の意思も態度もないので解雇した、というものです。この事例でも、従業員は、解雇無効を主張して提訴しました。結果、解雇無効という判決

このように、一般的には解雇されても仕方ない、と思えるような場合でも、法律的には解雇が無効になることがあります。解雇が有効になる要件はかなり厳しい、ということです。

そして、解雇が無効になると、職場に復帰するか、解決金をもらって退職するか、というようなことができます。そして、職場に復帰する場合でも、解雇されてから復帰するまでの間の給与を支払ってもらえる場合があります。つまり、不当解雇の場合にはしっかり権利を主張した方がよい、ということです。

したがって、突然解雇されてしまった場合にはその解雇が有効なものかどうか一度弁護士に相談することをおすすめします。

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今日は、ここまで。

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