5校に1校が「いじめなし」報告。文科省「いじめ認知件数」の疑問

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10月17日に発表された、文科省実施の「全国小中学校児童の問題行動や不登校などに関する調査」。この調査において、いじめ認知件数が歴代最多を記録したことを受け、文科省は「初期段階のものも積極的に認知している」と前向きに評価しているとのことですが、果たして額面通りに受け取って良いものなのでしょうか。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』では、当調査結果を多方面から読み解きながら、複数の不可解な点を指摘しています。

いじめの認知件数公表について

文部科学省から、昨年度の「いじめ認知件数」が発表されました(注1)。文科省の調査によると、平成30年度(2018年4月~2019年3月)に、全国の小中高校などが認知したいじめの件数は54万3,933件、前年度(41万4,378件)から約13万件増加し、過去最多となりました。学校別にみると、小学校42万5,844件(前年度31万7,121件)、中学校9万7,704件(同8万424件)、高等学校1万7,709件(同1万4,789件)、特別支援学校2,676件(同2,044件)と、特に小学校で10万件以上増えていることが明らかになりました。

また、いじめによって生命等への危険や不登校になった疑いのある「重大事態」についても、小学校188件(前年度145件)、中学校288件(同224件)、高校122件(同102件)、特別支援学校4件(同3件)で、全体では前年度を128件上回る602件と、いじめ防止対策推進法の施行で集計が始まった平成25年度以来最多でした。

いじめ認知件数が増加したことについて、文科省は、「初期段階のものも積極的に認知し個別の事案に対応している前向きにとらえていると報道されています。「いじめゼロが良い学校」という考え方は淘汰されて、「軽微ないじめも見逃さずに解決する学校が良い学校」と、先生方の意識も変わりつつあるように思えます。

ただ、今回の調査でも、地域や学校によって意識に差があることがうかがえます。都道府県別、指定都市別の児童生徒1,000人当たりの認知件数をみると、指定都市では、新潟市が、児童生徒1,000人当たり250件、都道府県では、宮崎県が101.3件と報告しているのに対して、佐賀県はわずか9.7件しか認知していません。

さらに、いじめが1件もないと報告している学校は19.2%と、ほぼ5校に1校の割合です。確かにいじめがゼロの学校もあるのかも知れませんが、5分の1の学校がそうであるというのは、あまりにも現実離れしているように思えます。いじめの正確な認知を推進するために、文部科学省は、昨年3月26日付の「通知」(注2)で、各学校において、いじめの認知件数がゼロであった場合は、そのことを児童生徒や保護者向けに公表し、検証を仰いで、認知漏れがないか確認することを求めています。全学校の5分の1で、本当に、子供や保護者に対して、いじめがゼロで間違いないかの確認をしているのかかなり疑問です。各学校が独自のいじめの定義を決めるなどしているために、いじめの基準がまちまちになってしまっており、このようなことが起きていると言えます。

また、調査結果では、いじめ認知件数やいじめの態様等のほか、いじめ加害生徒に対する措置やいじめ被害生徒への対応等も明らかにされています。

私たちのところへの被害者側からの相談では、「いじめっ子がいる教室には怖くて入れない、でも、被害を受けたほうが保健室登校させられて、教室で授業を受けられないのはおかしい。加害生徒を別のクラスに替えてほしい」「クラス替えが無理なら、いじめ防止対策推進法に基づいて、加害生徒を今の教室から出して別室で勉強するようにしてほしい」という要望が実に多いのですが、加害生徒に対する措置に関しては、ほとんどの学校がなかなか認めてくれません。

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