悲観論はここまでだ。衰退途上国ニッポンを再興させる一筋の光明

 

日本は、すでに物作り大国ではない

株価は上昇しているが、AV系、IT系機器では韓国と中国に負けて、ソフト産業、ITサービス業では、米国と中国に負けている。自動車でも今後のEV系では、中国や欧州に負ける危険性がある。

徐々に、製造業のGDPに占める割合も低下しているし、民生機器での日本企業のシェアが下がっている。モノづくりでの限界点に来ているように感じる。物からサービスへ産業構造が変化してきている。設備投資でも製造業ではなく、観光産業が活性化している。

それに伴い、若者に物づくりへの情熱を感じなく、優秀な人が物づくり企業に入らない。このため、企業は物づくりで日本離れを推し進めている。

工作機械や電子部品でも中国、韓国企業が徐々に出てきている。特に「中国製造2025」で急速に先端製品の性能が上がっている。

三菱航空機のスペースジェットは、複数回の納期延長でキャンセルが多発している。日本人だけでの開発が大きな問題となってきている。外国人が主力で日本人は補助の方が良かった感じである。

反対に、ホンダ・ジェットは、知識ある外国人で設計・開発したことで、大きな成果を出している。米国での設計・開発・生産を行い、日本には何もない

日本人の物づくり能力がそれほどでもないことが証明されてきている。また、大学でも研究費用が削減されて、将来ノーベル賞を取れる研究が少なくなり、若手が研究生活を送れないような環境になっている。AIや量子コンピューター分野の実用化でも米中に、大きく離されている。

これにより、大きく製造業の競争力が失われることになるが、国家予算の余裕もなく、対応できないでいる。今後、10年程度で、中小企業の半分程度がなくなり職人芸的な物作りができる部品産業も衰退することになる。

勿論、AIやソフトの開発に機械産業でもシフトせざるを得ないが、これは、論理力が必要であり、日本人の5%程度しか対応できないし、必要なら世界から有能な人間に日本に来てもらうしかない

物作りを捨てるのではなく、世界から有能な人間に来てもらうことである。職人芸が必要な部品産業は、東南アジアの人に任せるしかない。製造業の工場は、AIとロボットで無人化されてくるので、日本人を必要としなくなる

このような状態では、日本は、もう、物作り国家から違う国家像を描かないといけない。勿論、AIなど最先端技術をベンチャーなどで行い、それを国がサポートして、大きな力を掛けるべきであるが、予算が回せない。

日本を衰退途上国という評論があるが、それではどうするかの議論が出ていない。そして、衰退途上国としてどう生きるかは、日本人の特性を再度検討して違う道を模索することが必要である。

観光立国

とすると、日本の次は何かというと、観光しかない。観光には、それを魅力的にする複数の要素がある。その要素を強化する方向で、観光業を推進することである。

日本は、「観光資源+礼儀良さ+治安の良さ+まじめな態度+観光に必要な高級食材+料理を作るシェフ」などを重層的に育成して、それほどには、論理力を必要としない分野に力を入れて推進して、国民の8割が食べていける職を作る方が良い。低賃金かもしれないが、一流になれば、それ相当な賃金になる。

観光資源では、伝統工芸の世界も維持する必要がある。漆産業や漆工芸などは、維持する必要がある。治安の維持には、貧富の差を拡大しないような仕組みを作るしかない。まじめさは、論語教育などが必要である。

そして、観光立国化することで、最低の職を確保しておくことであるが、これは、フランスやスイスと同じ戦略でもある。日本のスイス化やフランス化とも言えることである。

現時点、4,000万人が来日して、1人20万円程度を日本で使うと、それだけで、8兆円規模の産業になる。IRなど観光での消費を増やせば、10兆円規模になる。携帯電話やコンビニの市場規模と同じレベルになる。

そして、高級化も推進して、富裕層の観光を促進して、1人当たりの消費額を上げる政策も必要になる。

この産業を延ばすことで、次の日本のメイン産業をするために、観光公害などを、抑制して地元住民の暮らしとの調和を図る必要がある。京都市の行っている宿泊税などは、迷惑を金に代えて、市民生活を保護したり、舞妓さんを見ようと観光客が大勢来る祇園などは、地域に入る木戸銭を取ればよいような気がする。舞妓を見るショーなども行い、観光客の要望を満足させればよい。

というように、観光業を組み立てなおして、次の多くの日本人の就職先は、観光業関連にすればよい。こちらは対人サービスであり人間が対応した方が良い

地域振興にもなる。地域の観光資源を掘り起こすことである。特に外国人が好むのは、田畑と里山の風景であり日本のどこにもある風景である。これを観光化することが必要になる。

自然風景も観光資源になる。3月に奥入瀬に行ったが、雪が多く歩きにくいし、緑もない風景であったが、多数の外国人がいる。聞くと、台湾からの観光客であり、台湾には雪のある奥入瀬のような風景はないと言っていた。日本人は秋の紅葉のシーズンが良いと思っているが、台湾の人は冬の方が良いのである。北海道も冬にタイからの観光客が多いという。いろいろな国の観光需要は違うので、それに対応すると、面白いことになると見た。

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