「年金は払わない」そのことであなたに起きる最悪のケースとは?

 

さて、未納が多かった男性ですが、障害年金は請求できるのでしょうか。1年6か月経過した日(障害認定日という)の令和元年8月18日から請求可能。障害年金を請求する場合は初診日の前々月以前の保険料納付状況を見る。年金保険料納めなければならない月の3分の2以上(66.66%以上)は未納や滞納ではない事が必要。初診日の前々月以前(平成12年9月から平成29年12月までの208ヵ月)の納付状況をまとめる。

  • 平成12年9月から平成15年3月まで31ヵ月未納
  • 平成15年4月から平成25年6月までの123ヵ月厚年
  • 平成25年7月から平成26年6月までの12ヵ月全額免除
  • 平成26年7月から平成29年12月までの54ヵ月は未納

つまり、208ヵ月のうち未納ではないのは、123ヵ月+12ヵ月=135ヵ月。135ヵ月÷208ヵ月=0.649=64.9%<66.66%となり、障害年金は請求できない。

いやいや、平成28年1月に遡って平成29年12月までの24ヵ月納めたやん!そうすれば135ヵ月+24ヵ月=159ヵ月となり、159ヵ月÷208ヵ月=76.44%となって満たすんじゃないの??

…と思われそうですが、初診日以降に納めた分はすべて無効となる。それが過去分であろうと。年金は保険だから初診日前に納めた保険料納付状況を見る。初診日という保険事故が起きる前に自分でできる最低限の備えをしていたかどうかを見るというわけです。事が起きてから保険料納めたら後出しジャンケンになってしまう。そういうわけで、請求ができない。

もう一つの保険料の納付状況を確認する初診日の前々月までの直近1年間(平成29年1月から平成29年12月)に未納が無い事というのも、初診日(平成30年2月18日)以後に納めてるから使えない。慌てて納めたのは先ほど書いた、平成30年2月27日(初診日は平成30年2月18日)。よって保険料の未納が多くて請求できないというのはどうやっても助ける事ができない。せめて未納にしとくくらいなら免除制度を使っていてほしかった。

初診日が国民年金加入中なので、もし請求できていたなら国民年金から障害基礎年金が支給されていた。支給は令和元年8月の翌月分から、障害基礎年金2級定額780,100円支払われる。今は障害基礎年金受給者には障害年金生活者支援給付金月々5,000円(年額6万円)も令和元年10月分から始まった。給付金と合わせるなら年間840,100円の支給となる。

もし障害状態が10年続くなら8,401,000円の損、20年続くなら1,680万円の損、40年とかなら約3,300万円の損をする事になる。年金で損得はあまり語りたくはないですが、いざという時の社会保障を棒に振る事になるので今までの保険料納付状況には気を付けておきましょう。定期便とか年金ネットでも確認できるからですね。払えないならとりあえず保険料免除!がいざという時損しない鉄則です。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
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