NASAの「パーカー」が太陽最接近。人気ブロガーがワクワク解説

 

今の人類にできることは、100万℃を超えるコロナに限界まで近づき、これまでの観測では解明できなかった太陽の謎を探るための「近距離からの観測」をすることです。今回のミッションでは、最終的には太陽表面から約600万kmのところまで接近することになっています。東京から大阪まで直線距離で約400kmなので、その1万5000倍‥‥と言っても、ぜんぜん想像できませんよね。地球の直径は約1万2700km、太陽の直径は地球の109倍なので約140万km、だから、600万kmは、ザックリと太陽4個ぶんになります。丸い太陽を想像して、同じ大きさの丸を4個並べたところまで探査機が接近するというイメージです。

ちなみに、「パーカー・ソーラー・プローブ」は乗用車ほどの大きさの探査機なので、あたしは、自分が空飛ぶ乗用車に乗って600万kmのところまで太陽に接近したという空想をしました。そんなことしたら、あたしは一瞬のうちに蒸し焼きになって蒸発してしまいますが、これは空想なので、あたしは車のエアコンをつけて快適に宇宙ドライブをしているのです。その上、おしゃれなサングラスを掛けているので、目も眩しくありません。で、あたしの一番の興味、「600万kmまで接近したら太陽はどれくらいの大きさに見えるのか?」ですが、こんなに離れているのに、視界のすべてが太陽になるほど大きいのです。

そんな太陽ですから、初めに書いたように、真っすぐに接近したらひとたまりもないので、「パーカー・ソーラー・プローブ」は、「はやぶさ2」と同じく惑星の遠心力を利用したフライバイ(スイングバイ)による楕円軌道で、太陽に接近して行きます。フライバイで太陽に接近して、太陽の近くをかすめるように飛びながら観測して、そのまま一度、戻って来ます。そして、次のフライバイで、前回より少しだけ太陽に接近したコースを飛びながら観測します。7年間のミッションで、このフライバイを24回行ない、最終的には太陽表面から約600万kmのところをかすめ飛びながら観測するという計画なのです。

2018年8月に打ち上げられた「パーカー・ソーラー・プローブ」は、3カ月後の11月に最初のフライバイを成功させました。そして、これまでに計3回のフライバイによる太陽への接近を成功させ、数多くの成果があがったので、今回、第1回目の観測結果が報告されたのです。ですから、ミッションはまだまだ続きますし、太陽への接近距離もフライバイのたびにジワジワと近づいて行くため、これからも目が離せないのです。

ここまで前フリをしたのですから、今回の報告内容を紹介するのが筋なのですが、あまりにも専門的で、前段階から細かく説明しないと分かりにくいことばかりなのです。たとえば、コロナが高温になる原因として、これまでは「太陽磁場の振動がコロナの加熱を引き起こしている」と考えられて来ました。しかし、今回の接近観測によって届いたデータには、これまでの予測を遥かに上回る強力な「はぐれ磁気波」が観測されていたのです。『ドラクエ』をやったことのない人には分からない喩えで申し訳ありませんが、「弱いスライムしかいない場所だと思って行ってみたら、はぐれメタルがあちこちにいた」という感じだったのです。

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