東は「日向かし」、北は「汚し」?方角の日本語語源を探ってみる

 

北という語については、各言語において、その一は、真夜中とか、冬とかの語によるもの、これは南を真昼とか太陽の方向とのいう語の逆である。第二、背後の意、南を前面と捉えるものの対語、漢字の北はこの考え方の字とか。その三は、北を左という単語で捉えるもの。南を右と捉えるのと逆である。その四は風による命名。

日本語の北は、東や西ほど明瞭ではない。キタナシ(汚)という語があり、ナシは甚だしい意の古語であるので、キタが汚に当たる。黒、汚れの意味の語源キタが存在したと考えられ、これがそのまま「北」の語源ではあるまいかと大野晋博士は推測する。日本語では「光の方向」を意味するカゲトモが「南」を指した。従って、その反対概念である「黒・汚・闇」を表すキタによって「北」を捉えたのは自然であろうというわけである。

image by: Shutterstock.com

『安曇野(あづみの)通信』

『安曇野(あづみの)通信』

この著者の記事一覧はこちらメルマガはこちら

発刊以来10年、みすずかる信濃はアルプスの麓、安曇野を中心に信濃の光と風、懐かしき食べものたち、 野の花、石仏、植物誌、白鳥、温泉、そしてもろもろ考現学などを、ユニークな(?)筆致でお届け!

  •  この著者の最新記事をメールでお届け

  • 規約に同意して

print
いま読まれてます

  • 東は「日向かし」、北は「汚し」?方角の日本語語源を探ってみる
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け