遊ぶ場所か、買い物をする場所か。岐路に立つショッピングモール

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大型ショッピングモールが日本に登場し始めたころ、わたしたち消費者はスケールの大きさに圧倒され、そして吸い寄せられました。しかし十数年以上たった今、そんなモールも曲がり角にあるようです。 今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「飽きられつつあるショッピングモール」が生き残るためのヒントを記しています。

ショッピングモールは児童公園。やがて、卒業する時が来る

日本全国、どこへ行っても巨大ショッピングモールができています。ファッション、雑貨、家電、ゲームセンター、飲食店、カルチャースクール、病院……。

若干古いのですが、ゴダイゴの『ガンダーラ』を思い起こしてしまう、魅惑の施設。それが、ショッピングモール。昔、子どもたちが遊んでいた児童公園のように、1日中いても飽きない場所です。来る日も来る日も次々と遊びを変えて、ハシャギまわることができます。

しかし、時の経つのは早いもの。子どもたちは、突然、公園に足を踏み入れなくなります。別の場所、別の遊びに興味が移ってしまうのです。それが子どもであり、公園の運命でもあります。公園から子どもたちが卒業する瞬間です。

ショッピングモールにも同じことが言えるのではないでしょうか。確かに面白く、楽しく、1カ所ですべてが完結してしまう場所は便利でもあります。しかし、それも最初のうちだけ。私も何度か利用しましたが、5、6回で飽きてしまったのです。

お客さまに飽きられないように、定期的なテナントの入れ替えはしていますが、同じようなお店ばかりが出店しているように感じてしまいます。敷居の高いショッピングモールに出店できるお店は、ある程度のレベル以上のお店に限られてしまうからではないでしょうか。

無名なお店の可能性を見出すのではなく、売り上げが見込めるお店ばかりを出店させるから、新鮮味も面白味もない場所になってしまうのです。最初は物珍しさで出掛けますが、ひと通り見てしまうと、もう行かなくなってしまいます。

公園のように、世代が変わって利用され続けるのなら良いのですが、地域に住む人たちの世代が変わるスピードは遅く、ショッピングモールが衰退するスピードの方が早いのです。いまはブームのように人びとが集まり、賑わっていますが、驚く早さで廃れてしまう予感はあります。

それを見越して、お店を入れ替えるだけではなく、体験型施設の充実で、新たなお客さまを呼び込もうとするショッピングモールもあります。体験型は、生活圏を越えて遠くからお客さまを呼べるメリットがあるので、テーマパークとして長く存続する可能性はあります。しかし、それも“飽き”との戦いとなるのではないでしょうか。

全国にあった遊園地が次々と閉園し、限られたテーマパークだけに人びとが集中しているように、お客さまを飽きさせないショッピングモールだけが、生き残れるのではないでしょうか。しかも、ショッピングモールは全国に広がっているので、遠くのお客さまを呼び込むことには限界もあります。実に中途半端な存在ではないでしょうか。テーマパークとしては規模が小さく、日常の買い物をするには大き過ぎるのです。

いまはひとつのレジャーとして利用されてはいますが、何れは百貨店のごとく、食品売り場だけに人が集まる場所となってしまうでしょう。

遊ぶ場所なのか、買い物をする場所なのか。

明確なイメージづけをすることが、長く生きていく手立てとなるのではないでしょうか。“何でもアリ”は、“何にもナシ”と同義です。“あそこに行けば、コレがある”というものが、ショッピングモールにはありません。定まったイメージがないから、人びとはすぐに飽きてしまうのです。

飽きないものとは、狭く深く掘り下げたもの。「専門店街」ではなく、「○○専門店」を探し歩くことこそ、楽しいお買い物なのです。

image by: Tupungato / Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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