これらの事実から推測されることは、(マーケティング用語でインプリケーションといいます)家庭内での消費に対する「考え方」が変わった、ということ。小田急デパートの高級ワインを例にとると、「家で食べることって、意外といいな」「ちょっと贅沢してみよう」と、いうお客様の心の変化だったりします。
さて、ここまで読んでもらって気がついたことがありますよね。あなたがもし、文具メーカーだったら、売り先をリアルやネットの書店にシフトすれば、売り伸ばしにつながる可能性がありそうです。パンのメーカーや、ベーカリーの経営者だったら、学校近辺にデリバリーカーを出せば、売れるかもしれません。小田急百貨店の酒類担当者だったら、商品ラインアップに、高めのワインをより多く入れれば、売り伸ばしできそうです。
人は環境が変わると、変化に応じた行動をするものです。ということは、
- 巣ごもり消費になって
- ある消費者層の行動が変わり
- 普段とは違う特定の商品を購入した
という傾向があるので、これを、自社の顧客層と商品に当てはめればいいのです。
まとめるとこうです。
「変化に敏感になり、売り先と売り物を変える」
コロナ危機のような「不確定要素」が多い状況下では、これまでのやり方では“ダメ”です。新しい時代が来る前触れ、といってもいいでしょう。
消費は一旦逃すと、とりもどすのが難しい、と言われています。しかし、やはり企業としてここは耐える時。お客様が減ってしまったこの時期だからこそできる、自社でしかできないことを、今こそすべきです。
変化に応じて、消費傾向は変わります。その行動の先を読み、「売れる可能性がある層」に、「買ってもらえそうな商品」を当てる。実はこれ、マーケティングの基本です。そして、その出発点にあるのは常に、「環境の変化にいかに敏感に対応できるか」です。そのためには、アンテナを貼り適切な情報収集をすることが、最初の一歩なのです。PDCAサイクル、とよく言いますが、P、すなわち計画の前には、I、すなわち情報と、A分析が必要なのです。
そして、新しい顧客ができたら、そのお客様がどんなものを買ってくれたのかをしっかりデータとして残して、回復してきた時に、よりきめ細かなサービス、たとえば、お客様ごとに欲しそうな商品を用意するなど、お客様名簿をしっかりと作り込んで備えておくといいですよね。
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