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うがい薬と都構想

【東京】は22面のこちら特報部・「ニュースの追跡」で、大阪府の吉村知事と大阪市の松井市長が会見して、「うがい薬で、コロナに打ち勝てるのではないか」とわざわざ特定のうがい薬を推奨するかのような会見を行った件について報じている。見出しから。

(22面)
先走った「うがい薬」会見
薄い科学的根拠
データまだ41件
大阪知事「パフォーマンスに混乱」
裏に「都構想」投票?
「政治的勇み足、裏目に」

「うがい薬でコロナに勝てるのではないか」と会見で言ってしまった吉村知事。府立病院機構「大阪はびきの医療センター」の研究成果なるものはそもそも41件のデータしかない代物なのに、会見の効果は絶大で、人々かうがい薬を求めて店に走り、薬は店頭から次々と姿を消した。

混乱と批判を受けて再び会見した知事は、「一部誤解がある。うがい薬は予防薬でも治療薬でもない」としたが、結局のところ「まるで「大阪府と自分がこんな発見をした」と言いたいがためのようで、「パフォーマンスに流れた」と見なされた(駒沢大・逢坂巌准教授)。

大阪で取材するフリージャーナリストの吉富有治氏は「11月に都構想の賛否を問う住民投票を目指している。感染拡大防止に有効な手だてを打てず焦る中、何とか府民の支持を集め、賛成を勝ち取りたい。そんな政治的思惑で勇み足になったのでは」と分析。

●uttiiの眼

日本社会は未だにこの種の言い訳を許しているのかと暗澹たる気持ちになる。吉村知事が「一部誤解がある」というのは間違いであって、誤解していたのは知事本人。府民は「誤解」したのではなく、「騙された」。うがい薬を買いに走ったし、ネットで高値転売されたものを次々買ってお金を失った。知事と市長のせいで。

吉富氏の分析は、大阪人以外には分かりにくいところがあるかも知れないが、維新の最大のテーマが「都構想」であり、すべてをそこに流し込もうとしていることからして、実はあり得ない話ではない。少なくとも、新型コロナの第2波に対して吉村知事も松井市長も実に無力な存在となっており、焦りを感じているのは確かだろう。ついでに言えば、やたらとテレビ出演が多くなっている維新の創業者、橋下徹氏の動きも、11月の都構想住民投票と無関係ではないのかもしれない。

image by: StreetVJ / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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