ニトリやイオンも。「従業員がコロナに感染」そのとき現場はどう動いたか?

2020.09.13
 

レストラン従業員がコロナ感染。大型商業施設「イオン」の場合

郊外型ショッピングモールのレストラン街の1店で、新型コロナ感染者が確認された場合はどうなるか。

6月2日に山梨県昭和町のイオンモールに入居する、レストランのうちの1店の従業員1名が感染した例がある。県によれば、当該従業員は1日に37.7度の熱、せき、喉の痛みの症状があり、医療機関を受診。PCR検査を受け、2日に陽性が判明した。

Image-10

PCR検査

5月30日、31日、6月2日と、感染リスクの高い発症2日前から3日間勤務。調理や料理を運ぶなどし、勤務中はマスクを着用していた。このケースでは、従業員が医師より、検査の結果が出るまでは自宅で待機するように求められていたにもかかわらず、2日にも出勤したことが問題視され、再発防止の徹底がお店とモールに求められた。県から、当該レストランには休業要請が行われている。

イオンモールには休業要請がされなかったが、イオンは事態を重く受け止め、約180店の専門店街を3日には臨時休業。館内の徹底的な消毒を行った。モールは、自社で作成した、客観的に感染防止対策に有効なガイドラインに沿って運営されていたことが、確認されている。

4日には、感染者が働いていたレストランなど1部を除いて、専門店街の営業を再開。

当該レストランも、2日17時半からの休業要請が、8日には解除されて再開している。

また、保健所により濃厚接触者は確認されなかったが、当該店舗の患者と同じ日の同じ時間帯に働いていた接触者には、3日にPCR検査を実施。全員が陰性と判定された。

モール内のスーパー「イオンスタイル」は、保健所の指導の下、2日に消毒を行い、3日から通常営業した。

この場合、濃厚接触者がいないので、通常は感染者が2週間入院、感染者が確認されたお店を消毒して終了なのだが、陽性者が働いていたので、厳しい措置が取られた。

新型コロナウイルスは「結核」や「鳥インフル」相当の位置づけ

新型コロナは現状、2020年1月28日から21年2月6日までの期限が設けられた、指定感染症となっている。感性症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)で、危険度が5段階で上から2番目の、2類相当に位置づけられる。

これは2類に分類されている、結核、SARS、MARS、ジフテリア、ポリオ(急性灰白髄炎)、鳥インフルエンザ(H5N1に限る)と、同じ危険度だ。

2類に感染した人は、保健所の判断により、感染症指定病院に入院、感染した人が接触した場所には消毒が求められる。

新型コロナには、新型インフルエンザ等対策特別措置法が適用されており、同法が3月14日に改正されて、感染拡大が深刻化した場合には、緊急事態宣言を発動することができることとなった。

なお、新型コロナは、正式には“SARS-CoV2”と名付けられており、その感染症をWHO(世界保健機関)がCOVID-19と命名した。 SARS-CoV2の名の通り、 SARSの近縁のウイルスではあるが、症状は異なっている。

ちなみに、最も危険な1類にはエボラ出血熱、ペスト、クリミア・コンゴ熱、痘そう、南米出血熱、マールフルグ病、ラッサ熱が指定されている。3類にはコレラ、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症が分類される。

どれも恐い病気である。

1類は、2類に対して実施できる措置である入院と消毒等の他、交通制限等の措置が可能となっている。現状の新型コロナは、2類相当ではあるが、緊急事態を発令して、都道府県知事が外出等の自粛を要請できるので、一部1類に相当する措置も行われている。

3類となると、1、2類のように入院は求められないが、就業制限等の措置が行われる。消毒は同様に必要。

感染症指定病院への入院の費用は、患者は無料。軽症者、無症状者も現状は入院しており、しかも第2波では重症化しにくい20代、30代の患者が増えて病床を塞いでいるため、病床は重症者を救うために開けて、軽症者、無症状者はホテル等で静養させている自治体もある。

このような現状を踏まえて、政府では、新型コロナを罹ったら直ちに公費で入院する2類相当としているのを、通常のインフルエンザ並みの5類相当までグレードダウンすることが検討されている。

日本の新型コロナの死者数は、100万人あたり7.9人(7月29日時点)。欧米では、英国が675.8人、イタリア580.7人、フランス462.8人、米国450.9人、抑え込んでいるほうのカナダが236.1人、ドイツでも108.9人であることを見ると、ダントツに少ない。

アジア諸国は概ね新型コロナの死者が少なく、台湾の0.3人には及ばないが、日本はかなり健闘していて、新型コロナを通常のインフルエンザ並みの病気にしてしまったとは言えないだろうか。PCR検査数が多いか、少ないかは、結果的にはほとんど関係ないのではないだろうか。

print
いま読まれてます

  • ニトリやイオンも。「従業員がコロナに感染」そのとき現場はどう動いたか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け