ニトリやイオンも。「従業員がコロナに感染」そのとき現場はどう動いたか?

2020.09.13
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新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収まらない日本。ショッピングモールや居酒屋などには少しづつ客足が戻り始めていますが、もし飲食店や小売店の従業員にコロナ感染者が出た場合、その店舗はどう対応しているのでしょうか。フリー・エディター&ライターでジャーナリストの長浜淳之介さんは、その疑問に答えるべく、実際に従業員から感染者が出た、ニトリやイオンの緊急時対応を詳しく分析。保健所などの取材を重ねることで見えてきた、日本のコロナ対応の現状を丹念にレポートしています。

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名儀)など。

【ルポ】コロナ感染者が出た飲食店、小売店は、どう対処しているのか?

もしも、お店で新型コロナウイルス感染者が出たなら、しばらく休業しなければいけないのか。ショッピングモールのテナントの1店で感染者が出たら、モール内の他のお店はどうなる? そんな疑問を持たれたことはないだろうか。

結論から言えば、お店を休業しなければならないというルールはない。ただし、感染者が勤務しているお店の消毒は必要だ。

感染者(PCR検査陽性者)は基本、指定医療機関に、2週間入院することになる。都道府県によっては、軽症者や無症状者は、指定されたホテル等の宿泊施設や自宅で、人との接触を避け不要不急の外出を控えて、静養するケースもある。

実際に感染者が出た飲食店、小売店は、どう対処しているのか。各所に取材し、調査した。

従業員がコロナに感染。家具大手「ニトリ」の場合

新型コロナの感染拡大は今、第2波の真っただ中と考えられ、ピークは過ぎたとの見方もあるものの、PCR検査陽性者は連日、全国で数百人を数えている。

大半の飲食店や小売店では、従業員に感染者が出ないように、十分対策を打って注意しているが、それでも感染してしまうことがある。新型コロナは感染しても無症状の人が多く、発熱、味覚障害といった、この感染症に特徴的な症状がないまま、周囲の人を感染させるから厄介である。

兵庫県の井戸敏三知事は、「食中毒を起こした店のように、コロナ感染者が出た店も営業停止にするべき」と、8月8日の全国知事会で発言している。そういう強硬な意見もあるものの、現行法では、店員が新型コロナに感染したからといって、お店が営業停止になるわけではない。また、国も営業停止処分にする考えは毛頭ない。

幾つかの保健所に問い合わせてみたが、「新型コロナに感染者した人を犯罪者のように見てはならない。感染者や、感染者を出したお店を差別することがあってはならない」と訴えている。

新型コロナ感染者が確認されたお店が休んでいるのは、店主や店長が入院したり、店員にクラスターが発生してお店を開けられなくなったか、安全性を鑑みて自粛したのか、どちらかということになる。

1つの事例として、5月27日にニトリホールディングスが発表した、ニトリ赤羽店(東京都北区)で従業員1名が、同23日に感染が確認された件を挙げてみよう。

ニトリ赤羽店

ニトリ赤羽店

当該従業員は21日に発熱、自宅療養していたが、22日に医療機関でPCR検査を受け、23日に陽性と判定された。最終出勤日は20日で、勤務期間中は発熱もなく健康で、マスクを着用していた。

同社では北区保健所に届け出て、本人への聞き取り、店内カメラの調査から、顧客に濃厚接触者がいないと判明。本人は保健所の指導の下、2週間の自宅療養を継続した。

濃厚接触者とは、発症の2日前から、患者と1m以内で、マスク着用など必要な予防策なしに、15分以上会話などの接触を行なった者(周辺の環境や接触の状況から総合的に判断する)等である。

25日に北区保健所が濃厚接触者6名の従業員を特定。2週間の自宅待機で健康状態の経過を観察した。そのうち5名がPCR検査を受け、全員陰性となっている。

PCR検査陰性であっても、2週間以内に発病する可能性があるので、濃厚接触者は2週間、不要不急の外出を控えるよう要請される。

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