悪化する日本の潜在成長率。私たちは「デジタル化」で復活できるか?

 

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「潜在成長率」について読売の過去の記事が何を書いてきているか、見てみよう。

2018年12月9日付
米中の貿易摩擦が過熱する中で、両国の経済の状況を分析する記事。そのなかで、アメリカについて「7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率3・5%で、4~6月期の4・2%に続いて潜在成長率の2%程度を大きく上回った。中国製品への制裁関税の激化を見越した駆け込み需要もあり、10~12月期も2%台後半の底堅い成長が続くとみられる」と。

*潜在成長率を実際の成長率が大きく上回っているのは、一般的には経済が好調ないし過熱気味の印。

2019年1月3日付
新年にあたり、日本経済についての社説。例によって「30年前に4%を超えていた潜在成長率は、1%前後の低空飛行が5年以上続いている。経済の推進力は頼りない」と嘆いている。

2019年2月2日付
これも社説。景気が「戦後最長」になったとの安倍政権の発表に対して、「経済の実力を示す潜在成長率は1%前後に低迷している。これを改善するには、企業の生産性を高めることがカギとなる」

2019年3月10日付
経済学者・伊藤元重氏による少し詳しい分析記事。「潜在成長率とは、日本経済がどの程度のスピードで成長していけるのか、つまり成長力を評価したもの」としたうえで、「潜在成長率は、1人当たりの労働時間、労働者数、資本設備の大きさ、そして全要素生産性という4項目の伸び率を足し合わせたもので計算できる。全要素生産性とは、資本や労働の生産性を統合したようなものと考えればよい」と。

*全要素生産性については、こんな説明がある。「人口減少の中で資本や労働の量が大きく増えていくことは期待できない。潜在成長率を伸ばすには、資本や労働の配分がより効率的になり、結果として全要素生産性の伸びを高めていかなくてはならない」と。

*その後、政府の成長戦略についての社説、アナリスト、経営トップなどの口から同様のことが語られる。

*米国の予算についての報道の中で、議会事務局が潜在成長率2%を下回る予測を出しているのに対し、トランプ氏は高めの3%を強気で主張している…と言った具合の記述が目に付いた。目標数字を掲げる時に、潜在成長率の数字はベースラインとしての意味を持っていることが分かる。

*ここから先、コロナ禍での潜在成長率が問題となる。財政試算の悪化を受けた8月の社説では、デジタル庁を先取りするような提案が為されている。

2020年8月2日付
社説。「財政の立て直しには経済成長も重要となる。他国と比べて遅れているデジタル化を強力に後押しし、潜在成長率の底上げにつなげることが大切だ」と。

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