次に、異動者を受け入れる側である。一般的に、こちらの立場であることの方が多い。
一番大切なのは、異動者に関して事前に流れてくる周囲の噂を一切信じないこと、無視すること。悪い噂はもちろん、評判が良すぎる場合も同様である。他人の作った色眼鏡で見ないことである。自分の眼と耳と心で接して、判断すべきである。
人の噂は、フィルターを通った「情報」=「感情の入った報せ」である。しかも厄介なことに、良い噂より悪い噂の方がよく広まる傾向がある。ニュースがネガティブに溢れていることからもわかるが、これは人間の本能であり、止められない。
悪い噂は、その人のことを個人的に嫌いな人が意図的に作って流していることがかなり多い。そして、悪い噂を熱心に流す人自身が「良い人物」といえるかどうかを考えれば、さもありなんというところである。過半数が「良い」という評価の人であっても、数%のアンチの意見だけが一人歩きするのが情報・噂の正体である。
実際今までも、噂話はほとんどあてにならないどころか、有害でしかなかった。実際に会ってみたら、人間味に溢れた素晴らしい人物だったということが一度や二度ではない。前職場でのネガティブ情報は、その人に「叱られた」「負けた」と感じている人が流していることが多いからである。
だから特に管理職の方の場合は、ネガ情報が回りやすい。実はこの噂を流している人々が、さぼって不正をしていたからこそ、正しいこの人によく注意されていたのではないかと推察する。管理職の方が立場も実力も上で、真正面では歯が立たないため、裏で噂を流すしかやり返す方法がないのである。要するに「赤ちょうちんの愚痴」の結果である。
とにかく、まっさらの状態で自分が実際に見た相手の人物そのもので評価した方が賢明である。第一印象はもちろん大事だが、長く付き合ってみないとその人の本当のことなどわかったものではない。
そのためにこちらができることは、最初はとにかく親切に教えることだけである。自分がやられたら嬉しいことをする、嫌なことをしない、という子どもに常日頃教えていることを実践するだけである。
いずれにせよ、時間が経てばわかる。一緒にいる時間が長いほどわかる。そして、自分が悪い評価を与えた相手は、大抵相手も自分をそう評価しているものである。親切にして感謝を伝え続けた相手であれば、相手もそう返してくるものである。
気持ちの良い職場づくり、学級づくりは、4月が肝である。新しい環境では、お互いに思いやりをもって気持ちの良いスタートを切りたい。
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