【入江悠監督】KAT-TUN主題歌の裏話も!『ジョーカー・ゲーム』制作秘話に迫る

(C)2015「ジョーカー・ゲーム」製作委員会
 

――メジャー映画を撮るとなった時に「商業的になった」のような言われ方はしませんでしたか?

入江「もちろんありましたよ。でも、今ベテランとしてメジャーの舞台で作品を撮っている方も同じなんですよ。最初からメジャーという人はいなくて、みんな『ぴあフィルムフェスティバル』や『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』とか自主映画からやってきている人ばかりですから。むしろ『入江は商業的になった』って言われるより、同じ所にいて、狭くまとまってしまう方が停滞していく感じがして嫌だったんですよね」

――でもこのような規模の大きい映画を撮りながらメルマガを執筆するってスケジュール的にしんどくなかったですか?

入江「何回か『今週はヤバイな』って時はありましたよ。『ジョーカー・ゲーム』はインドネシアで撮ったんですが、ネット環境も劣悪だったんで毎週送るのが本当にヤバかったです(笑)」

――でも、それでもメルマガをやめない、頑張れるのはなぜですか?

入江「そうですねぇ、これはけっこう予想外だったんですが、メルマガって雑誌のコラムやラジオより読者の反応を近くに感じられるんです。リアクションがちゃんとあるので頑張らなきゃという気持ちにもなれました。本当にみなさんの反応は励みになるんですよ。こっちが見てない映画とかも『こんなの見ましたとか』Twitter経由で連絡くれたりするので、こっちも下手な原稿は書けないという良い意味での緊張感があるんです」

――なるほど、その緊張感が他のメディアにはない点なんですかね?

入江「ブログやTwitterと違い有料メルマガは読者のみなさんからお金を貰っているわけじゃないですか。それが良い緊張感につながり、ひいては記事の質が上がる要因にもなってるんだと思います。有料メルマガってたまに閉鎖的だとか批判があるのは分かるんですけど、つまらないものだったら読まれなくなるだけなので、そういうある種ドライな関係性はいいなと思っているんですよ」

――読者さんから批判的な意見がくることはありませんか?

入江「読者さんには自分たちのメルマガにどんどん意見を言って欲しいと思ってます。普通メルマガというと、情報を持っている人が、持っていない人へ一方向で伝えるという側面があると思うんですが、わりと僕らのメルマガは読者の人から意見をもらってフィードバックするということもあるんですよ。この映画を取り上げて欲しいとか、ある意味、読者さんから企画をいただいて反映しているのもあるんです」

――例えばどんなことでしょうか?

入江「そうですね、僕らのメルマガは毎週水曜日に配信しているんですが、原稿が遅れると、配信が夕方から夜になることもあったんです。でもそんな時に、読者さんから『水曜日は女性が1100円で映画を見られるレディースデーなのでメルマガはお昼までに送った方が良い』というご意見を頂きました。『OLが昼休みにメルマガを読めれば、見たくなった映画を終業後に見に行くことができる。その方が映画人口は増える』って書いてあって、それには僕らも、なるほど~って感じでうなずきました。ただ、なかなか実現できていなくて、申し訳ないですけど」
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――確かにそれは建設的で良いご意見ですね。

入江「メルマガって急に企画を変更したりすることもできる点もかなりメリットだと思っています」

――どんな点を変えたりましました?

入江「『入江悠のNO.1映画観戦記「キャバ嬢を口説ける、興行成績第一位」』という興行収入1位を隔週で見るという連載をやってたんですが、ふと、『僕の映画も興行収入1位をとらなきゃいけない映画じゃん!』と言うことに気づいたんですよ(笑)。じゃあ、僕の『ジョーカー・ゲーム』は1位を取れるのかというのを、サスペンス風に追いかけた方がいいんじゃないかと思い、今『入江悠『ジョーカー・ゲーム』興収1位への道「背水の陣からこんにちは」』という連載をやってます」

――確かに、急に連載を立ち上げるのは雑誌などでは難しいですからね。メルマガならではと言えますね。

入江「本当に、今まで好き勝手言ってきたけど1位って凄いんだなって改めて気がつきましたよ(笑)。まさにそのドキドキ感を読者さんも一緒に共有して欲しいなと思ってます。そうすれば公開日の1月31日を読者のみなさんも僕と一緒にドキドキしながら迎えてくれるような気がしてるんです(笑)」

――入江監督はメルマガ内で『ジョーカー・ゲーム』の裏話もけっこう書いてますよね?

入江「そうですね、そうするとけっこう亀梨くんのファンの方が僕らのメルマガを購読して下さるんですよね。それって僕の中では勝負だなと思っているんです。亀梨くんを目当てに来てくれた方が、僕の薦めた古いスパイ映画とかを見てくれたら最高だと思うんですよね。雑誌の場合、目当ての記事が載っている1号を買ったらそれで終わりじゃないですか。メルマガは一ヶ月分は同料金で自動的に届くので、原稿さえ面白ければ読んでもらうチャンスはあるなと思って」

――今後はどんなメルマガにしていきたいですか?

入江「これにはちょっと夢があるんです。去年って単館系を中心にけっこう多くの映画館が潰れたんですよ。これが凄く残念だなと思っていて、例えば、僕らのメルマガと映画館が連動して、このメルマガでオススメした映画を上映する企画とかができたら良いかなと思っています。それがみなさんの映画を見るきっかけになれば本当に嬉しいですね」

――「メルマガ×映画館」のイベントですか。

入江「映画の合間に僕らでトークショーをやったりして、普段馴染みのない映画館に人が来てくれて、面白い映画が見られればみんなにとっても良いかなと思っています。そしてその様子もメルマガでリポートすれば『次イベントがあったら行きたい』と思って貰えるかもしれないじゃないですか。メルマガ発で映画館、映画界が盛り上がれば、映画に携わる僕にとってはこれほど嬉しいことはないですよ」

――どんな方にメルマガを読んで欲しいとかはありますか?

入江「そうですね、多くの人に読んで頂きたいんですが、中でも『映画を作りたい』と思っている人には読んで貰いたいですね。僕が映画監督を志した高校生の時ってネットもそんなに発達してなかったので、図書館で本を読んで調べて、どうやってなるか、どんな作業をしてるのかを調べて学びました。映画を作りたい気持ちはあるけど、チャンスがない、なり方が分からないという高校生とか中学生とかがいたら、どんどん質問を送ってきて欲しいですね」

――確かに映画監督になりたい若い人たちにとってこのメルマガは映画の作り方が学べる教科書のようにも使えるかもしれませんね。

入江「僕の場合は日本大学芸術学部の映画学科に高い金を払って入ったんですけど、当時このメルマガがあれば大学に行かずに映画監督になってたかもしれませんね(笑)。それこそ今、本気で映画を撮りたい高校生がメルマガを読んで第一歩を踏み出したいと言ってきたら、僕らのメルマガで助手として色々勉強させてあげられるかもしれない、とかも思います。撮影の時に付いてきてもらっても良いですしね。もしそんな人が出てきたら本当に嬉しいです。やってきた甲斐があるなって思っちゃいます」

――なるほど、そうやってさらに日本映画界が盛り上がれば素晴らしいですね

入江「はい、そう思います」

――入江監督、本日はお忙しい中ありがとうございました。

入江「こちらこそありがとうございました。『ジョーカー・ゲーム』は1月31日より公開ですので『入江悠presents「僕らのモテるための映画聖典」』ともどもどうぞよろしくお願い致します」

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