淘汰されつつあるニットアパレル。まだ「復活の道筋」はあるのか?

 

2.ニットデザイナーの仕事

ニット製品を生産するニットメーカー、特にセーターを作る横編みのメーカーは「ニッター」と呼ばれている。ニッターは、自社で糸を仕入れ、ニット製品に編み立て、リンキング、縫製、仕上げを行って、最終製品を出荷する。

ニットデザイナーは、一人で商品を企画生産できる。これは、布帛製品とは大きな違いである。しかし、ニットデザイナーは年々減少している。そもそも、一般のファッション専門学校は洋裁が基本であり、ニットに関する教育は片手間に過ぎない。

しかも、百貨店からセーター売場が消え、ニットアパレル企業が淘汰されてしまった。ニット製品の市場そのものが縮小したのである。そして、ニットデザイナーを育成する仕組みも失われてしまった。しかし、ニット製品にニーズがなくなったわけではない。むしろ、売場もメーカーも減った現在こそ、ニットは儲かる業態だと思うのだ。

次に、ニットデザイナーの仕事を紹介しよう。ニットデザイナーには、2つの仕事がある。1つは、糸から編み地を作る仕事。言い換えれば、ニットのテキスタイルデザイナーである。糸とゲージを選び、色出しをして、編み組織や配色等を指示する。

多くの場合、ニッター、糸商には編み地見本が数多く展示されており、そこから編み地を選ぶこともできる。色出しも、染色して在庫を持っている糸商もあるので、そこから選ぶことも可能だ。しかし、色と編みの知識があるに越したことはない。

2つ目は、製品のデザインである。ニットの場合は、ゲージ、編み組織、寸法と簡単なスケッチがあれば、それで製品が出来てくる。問題は、サンプルをどのように修正すれば、市場で売れる商品になるのか、を判断することである。

もっと簡単な方法は、雑誌等から商品の写真を見つけ、それを元にどこをどのように変えるかを指示することである。糸の選択をニッターに任せるならば、最終的にいくらぐらいの価格にしたいのかも一緒に指示しておけば、ニッターが糸を決定し、目付を決めてくれる(ニッターが喜んでくれるかは別問題ですけど)。最終製品のイメージが明確ならば、ニットの商品企画は可能なのだ。

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