止まらない日本の貧困。迫りくる超円安で3%の賃上げなど不可能な現状

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先日掲載の「米国の猿真似が日本を貧困化した。さらなる衰退を防止する手立ては?」で、日本がこれ以上の貧困国に転落しないための方策を考察した、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。しかしもはや我が国は「凋落トレンド」から抜け出すことは困難な状況となっているようです。今回津田さんは自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』で、日本の衰退とともに超円安時代の到来も避けられないとし、今できることは「貧困化した際の備え」しかないと指摘。その上で、食料と木材自給のため早急に取り組むべき施策について持論を展開しています。

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日本の貧困化に備える 日本再生戦略:公益資本主義も問題がある

11月25日、世界的な株価の大幅な下落になったが、日本の貧困化が益々進んでいく。それにどう対応するのかを検討しよう。

岸田首相は、来春春闘で、3%賃上げ要請するという。しかし、企業は生産性を高めないと、給与を上げられない。

生産性を上げるには、工場の自動化を思い起こすが、一番必要なのが、製品価値を向上させることで、今、日本企業に必要なのが、新しい製品、新しい価値の提供である。

この部分の日本政府の支援がないのに、企業に給与を上げろと指示するだけである。

大企業は、日米で株を上場しているし、売り上げも日本より海外の方が多い。このため、日本の労働者だけの給与を上げることはできない。利益の貢献が大きいのは、日本ではなく、海外である。日本は価格を上げられないが、海外は価格を上げられるので、海外の利益の方が大きくなる。

このため、日本企業ではあるが、大企業は世界標準で物事を考えないといけないことになっている。

それなのに、公益資本主義と宣うようである。企業の儲けを少なくして、社会や従業員に分配しろという。これも正しいが、それだけでは企業は動かない。

岸田首相は、公益資本主義という新しい価値を創造しようとしているが、実質的に企業トップが求める物を提供していない。日本は、なぜ台湾のTSMCのような企業ができないかというと、政府が企業支援に後ろ向きだからである。

事実、企業の多くが、有効な新製品がなく、今後の利益が安定していないことを理由に、給与の引き上げを躊躇している。今後の安定的な利益を得るには、技術開発をして新製品・新しい価値を作るしかない。税金の免除ではなく、政府の開発支援が必要なのである。

その部分の政府の政策が欠落した状態で、企業に給与の引き上げを要求しても、企業は聞けないのである。

この欠如が、日本株の上がらない理由でもあるので、二重の意味で日本のリーダーは、またしても、経済学者・経済理論の選択を間違えてしまったようである。そのため、日本の衰退が加速していくことになる。

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