ロシア軍「極東部隊を欧州付近へ移動」は“独ソ戦”再来の布石か?真空爆弾の使用情報も

2022.03.01
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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依然としてロシア軍との戦闘状態が続いているウクライナ情勢。だが1日、さらなる不安を想起させる情報が入ってきた。ロシアのインタファクス通信発ロイターの報道によると、ロシア東部軍管区の発表として、極東に駐留する部隊が、欧州とアジアに接する国境付近に位置する南西部アストラハン州で演習を実施すると報じた。アストラハン州は、ロシア連邦を構成する州のひとつで、一部はカスピ海に面し、東にカザフスタン、西にカルムイク共和国と接している。報道によると、同州で軍隊の長距離移動訓練などが行われるという。

この報道に、日本のネット上では「北方領土の軍隊が手薄になるぞ」「北方領土を奪還するなら今だ」などと呑気なコメントが投稿されているが、ロシアの極東部隊を、わざわざ欧州近くまで移動させるプーチンの意図が気になる。ロシア中の軍隊をウクライナ周辺に集結させて、ウクライナのみならず欧州側にも一気に攻め込むつもりなのだろうか?

そんな中、ある「気になるニュース」が2月26日に報じられている。同じくロイターが伝えた、「ドイツ、ウクライナへの武器供与決定 慎重姿勢を転換」の一報だ。

これまでウクライナへの武器供与については慎重な姿勢を見せていたドイツだが、他の西側諸国と歩調を合わせるかのように2月26日、ウクライナへの武器供与を決めたことを明らかにしている。

ドイツのショルツ首相はツイッターで「ロシアのウクライナ侵攻はターニングポイントだ。プーチンの侵略軍に対して防衛する上でウクライナを支援することはわたしたちの責務。そのため、ウクライナに1000個の対戦車砲と地対空ミサイル「スティンガー」を500個供給します」と投稿している。

この表明に、ウクライナのゼレンスキー大統領は歓迎するとツイッターでコメントを出した。

このドイツによる武器供与のニュースを受けて「ある懸念」が頭をよぎる。怒りをおぼえたプーチンが、欧州周辺に集結させたロシア軍をドイツおよび欧州諸国にまで侵攻させるようなことがあれば、それこそ「独ソ戦の再来」という悪夢が現実になる可能性もある。

独ソ戦(東部戦線)とは、第二次世界大戦中の1941年から1945年にかけ、ナチス・ドイツが中心の枢軸国と旧ソビエト連邦(ソ連)との間の戦争のこと。ナチス・ドイツのヒトラー総統が「これは絶滅戦争だ」と断言したことで、血で血を洗う凄惨な戦いが始まったのである。当時、ソ連は首都モスクワの前面まで攻め込まれたが、英米ら連合国とともに反撃し「ベルリンの戦い」でナチス・ドイツを敗北させた。一連の独ソ戦で、ドイツ側の犠牲者は1075万8000人(諸説あり)、旧ソ連側の犠牲者は2660万人(現在のロシア当局の公式発表、諸説あり)とされている。

さらに、一部の報道ではロシア軍がウクライナ侵攻にあたって、大量破壊兵器として知られる「真空爆弾」を使用したという。ロイターの報道によると、ウクライナの駐米大使であるマルカロワ氏は28日、「ロシアは本日、ジュネーブ条約で禁止されている真空爆弾を使用した」と述べたという。もし、これが本当だとすれば、プーチン率いるロシア側の常軌を逸した攻撃がさらに激しさを増す可能性はますます高まっていると言えるだろう。

今回のロシア極東部隊の欧州方面移動、そしてドイツによるウクライナへの武器供与について、ネット上には不安視する声も多くあがっている。

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