スシローやモスバーガーに学ぶ、新常態時代に勝ちを掴むマーケティング戦略とは

2022.03.31
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新型コロナ感染症により、大きく変化することを余儀なくされた私たちの生活。当然ながらその影響は企業経営にも及び、これまでのマーケティング手法が通用しない事態となっています。我々は今後、いかにして市場戦略を立ててゆくべきなのでしょうか。そんな疑問に明快な答えを提示するのは、神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さん。栗木さんは今回、コロナ禍にあっても倒れることがなかった外食企業の成功例を挙げつつ、ニュー・ノーマル時代におけるマーケティングの具体的なアプローチ法をレクチャーしています。

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

ニュー・ノーマルに必要な「脱・戦略計画型発想」~ワタミ、スシロー、ドトール、モス・バーガーから何を学ぶか

はじめに

コロナ禍は市場環境に大きな変化をもたらした。たしかに産業によって、変化の方向やインパクトの違いはある。しかし、あらゆる企業や組織において、各種の業務のハンドルやギアを切り換える必要が生じたことに変わりはない。ニュー・ノーマルのなかで必要となってるマーケティングの本質的な変化を考える。

絶えざる変化のなかで次の機会をうかがう

あれから2年がたつ。2020年の春、コロナ禍の拡大を受けて緊急事態宣言が出された。

その直後の数ヶ月は居酒屋やファミリーレストランなど、飲食店の退店が各所で相次いだ。これは飲食店の規模の大小を問わない。人の流れや生活様式が急転し、食への需要のあり方が変化する大津波に、都市部を中心とした各種の飲食店は突如として襲われたのである。

振り返ると私の神戸市内の住まいの近隣でも、この2020年の春から夏にかけての時期には、商店街やショッピングモールなどを歩くと、シャッターが下ろされたままとなり、張り紙などで閉店を知らせる店舗がそこかしこで目についた。寂しい思いで街の急激な変化を眺めていた。

しかしこれは、一時の出来事だった。続く時期に目にすることになったのは、そこで生じた街の空きスペースへの新規出店である。個人店やローカルチェーンだけではない。全国的に事業を行う大手飲食チェーンのあいだにも同様に動きが見られたことは、各種報道などからも確認できる。

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