戦闘を美化するプーチン「5月9日マリウポリで軍事パレード」画策の異常

 

それから、東部戦線と言われるところ、ウクライナ東部の平原地帯で戦車を中心とした大戦車戦のようなことが行われようとしていて、そこに向けてウクライナ側に対して米欧から大砲ですね、榴弾砲というのは大砲ですが、それが、この前の援助では確か18門しか送られていなかったのが、今回は72門という大量。弾の数もすごくて14万発だそうですね。

その他、今の段階ですぐに送れる軍備、兵器をかき集めて送っているのだと思いますが、それらを使って、ウクライナ側からすれば防衛を試みることになるのでしょう。日本の防衛関係者の話を聞いていると、こういう言い方はちょっと申し訳ないですけど、専門家としてはそのような戦車戦がこの現代に行われるということをおそらく想定も想像もしていなかったのではないかと。なんか驚きのようなものが感じられます。まるでタイムスリップしたみたいな感じがありますが、現に行われようとしているということが重要な事実の一つなのだと思います。

それから、もう一つ忘れてはいけない事実として、ロシアが新しい大陸間弾道弾の発射実験に成功したと主張しています。えー、サルマトという不思議な名前のミサイルですが、極超音速で飛んで核弾頭を10個搭載でき、射程が1万キロ以上。ロシアは東西にも南北にも非常に大きい国ですから、事実上射程なし、つまり地球上のどこでも狙えるミサイルだと豪語している。

これはまだ本当かどうかよく分からないと思いますけれど、弾頭を複数積むのは大陸間弾道弾の世界では当たり前の話になっていて。MIRV(マーヴ)という言い方を以前はしたと思うのですが、多弾頭の大陸間弾道弾の実験をこの時期にやったということですね。で、プーチンは「ロシアを脅迫するものたちはこれで考えを改めるだろう」という、なんかどう言ったら良いのか、役者の台詞じゃないんだから…という感じのことを言われていますけれど、これも、私たちが物事を考える上で重要な要素の一つになってくるでしょうね。そういうものを打ち破るだけの防衛体制ないしそれを上回る攻撃兵器を米欧は作ろうとするのでしょうが、また軍拡、際限ない軍拡の道に入っていく恐ろしさを感じます。

それからNATOとそれ以外の国も入るのですが、まもなく26日、ドイツの米軍基地に各国が集まって、ウクライナ問題についての会議が開かれます。これ、戦況についての情報共有とか、援助がうまくいっているかいないか、というようなことも多分検討するのだと思いますが、これから先、どうしていったら良いかという話し合いをするのだそうです。

これ、ドイツでやっていることには意味があって、ドイツは当初兵器輸出につながるウクライナ支援について、すごく後ろ向きだったんですよね。嫌がっていた。一番象徴的だったのは、マルダーという名の歩兵戦闘車(マルダーはドイツ語で動物の貂(てん)のこと)があって、これ、戦車に似た古い兵器なんですが、非常にすばしっこく戦場を駆け回り、敵の戦車を攻撃するのが主な仕事ですかね。これか数百台現にドイツは実戦配備しているわけですが、これのうちいくらかをウクライナに出せるのではないか、150輛くらいだせるのではないかという話があったんですが、ドイツ国防軍や政府内部で反対があり、出さなかった。出してしまうとNATOの防衛に穴が開くということで断っていた。そのドイツで今回、軍事支援の会議を開くということなのです。意図は明らかだと思うのですが。そういうことです。

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