ウクライナ情勢で高まる“改憲気運”に過剰な反応を示す「護憲派」の能天気

 

いつもながら思うのですが、護憲派は意図的か無意識なのかわかりませんが、敵対する周辺国の軍事的脅威を軽視し、日本が他国並みの安全保障体制を整えるほうがよほど危険だとする思想を持っているようで、これは非常に不思議なことだと言わざるをえません。

かつて最大の護憲勢力だった政党といえば社会党ですが、北朝鮮による拉致を「ありえない」と頑なに否定し続けてきました。結局、その北朝鮮が拉致を認めたことで、社会党のメンツは丸つぶれ、その後、衰退の一途をたどりました。

社会党は朝鮮労働党と友党関係にありましたが、「親友」だと思っていた北朝鮮の真実を見抜けず、むしろ北朝鮮の拉致疑惑を擁護したため、結果的に日本国民を「裏切った」ことになってしまったわけです。

日本国憲法の前文には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という一文があります。

しかしこれは、大陸から渡ってきた国民党の中国人による台湾人虐殺228事件や、中華人民共和国による「文攻武嚇」(言葉と武力による威嚇)を体験してきた台湾人からすると、なんとも平和ボケした異常な内容だとしか言いようがありません。

このメルマガでも何度か紹介しましたが、1992年、韓国が中国と国交を樹立する際、台湾は韓国が台湾との国交を破棄するのではないかと何度も韓国側に問い合わせましたが、その答えは「断交はありえない」というものでした。そのうえで、韓国は台湾に対して韓国車を5万台も売りつけたのです。台湾は、国際市場で人気のない韓国車を大量に買うことになりましたが、それでも韓国の言葉を信じました。

しかし韓国は、中国との国交樹立を発表すると、すぐに台湾との断交を発表、その日のうちに台湾大使館の保有資金を中国名義に変更し、台湾の大使を追い出しました。そのとき韓国側は「我が国の外交的勝利だ」などと大いに喜び、台湾を侮辱しました。

こうした経験があるだけに「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼する」ことなど、絵空事でしかなく、しかもそれによって「自らの安全と生存を保持する」などというのは、自殺行為以外の何ものでもないと言わざるをえません。

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