アベスガを継ぐ空虚な器。「骨太の方針2022」で判る岸田首相の無能

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「新自由主義からの転換」を旗印の一つに掲げ、昨秋の衆院選を大勝し政権運営を盤石なものにした岸田首相。しかし5月31日に示されたいわゆる「骨太の方針2022」の原案は、むしろ「新自由主義を推進する内容」であるという声も上がっています。今回のメルマガ『室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号』では著者で国会議員や地方議員の政策アドバイザーを務める室伏謙一さんが、元官僚の目線でこの方針の内容を分析。さらに岸田首相に対して、「空虚な器」なる強烈な批判を記しています。

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岸田政権の「新自由主義からの転換」は「新自由主義の強力な推進」だ

骨太の方針2022をめぐり、攻防が激しくなっている、とされています。世間の注目は2025年度のPB黒字化という目標が入れられるか否か。原案の段階では、PB黒字化とか2025年度といった言葉は姿を消し、「財政健全化の『旗』を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む」という文書に変わったので、「盛り込まれなかった!」、「PB黒字化目標が姿を消した!」と懸念する声(財務省の喧伝機関である大手メディアや貨幣観を間違えた御用言論人らが中心ですが)と、歓喜の声が入り混じっているようです。

しかし、元役人の私からすれば、表現ぶりが変わっただけで、実質的に何も変わっていないどころか、目標の「堅持」が目標に「取り組む」に変わったので、PB黒字化という緊縮目標を2025年度に達成したい勢力からすれば、更に前進したというのが正しい理解です。

つまり、自民党内の「対立」を上手く利用して、折衷案という形で事実上PB黒字化目標も達成目標時期も維持し、巧妙に表現ぶりを変えることでシラっと盛り込むことに成功した、財務省の完勝ということです(あくまでもこの時点での話ですが)。

積極財政派の議員たちは、責任ある積極財政推進議連の面々を中心に、騙されまいと、かなり細かく内容を精査して、党政調の会合で闘ったようで、財務省の完勝も糠喜びになる可能性もゼロではないかもしれません。

さて、この骨太2022、まだ原案の段階ではありますが、もっと大きな問題があります。それは、この骨太に記載されている内容が、ことごとく新自由主義の推進、小さな政府の推進のための事項であるということです。総裁選の時に訴えていた「新自由主義からの転換」はどこへ行った?と聞きたくなりますが、要するに言葉が踊っていただけで、何も考えていなかったということです。だから私は岸田総理のことを「新々空虚な器」と呼んでいるわけですが、その空っぽの器である岸田総理に、最大のブレーンである木原誠二官房副長官を通じて、新自由主義政策が大量に盛り込まれ、骨太2022という形に盛り付けられたということです。

以下具体的に一つ一つみていきたいところですが、一事が万事と言ってもいい程に、新自由主義色、小さな政府色が強い、強すぎるので、今回は「新しい資本主義に向けた改革」の二つ目の柱である「社会課題の解決に向けた取組」のうち、「民間による社会的価値の創造」について見ていきたい、というかバッサリ斬っていきたいと思います。

(メルマガ『室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号』2022年6月2日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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image by: 首相官邸

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昭和47年静岡県生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修了(法学修士)。総務省、株式会社三井物産戦略研究所、デロイトトーマツコンサルティング合同会社、みんなの党代表(当時)渡辺喜美衆議院議員政策担当秘書、外資系コンサルティング会社等を経て、室伏政策研究室代表 政策コンサルタントとして独立。政・財・官の全てを経験した立場から、国会議員、地方議員の政策アドバイザーや民間企業向けの政策の企画・立案の支援、講演活動(自民党議連「日本の未来を考える勉強会」、三橋経済塾、政経懇話会等)、東京MX「モーニングCROSS」、インターネットテレビ「チャンネル桜」他、報道・情報番組において政治・政策関連のメディア活動にも従事。

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