二極化する観光地の“これから”。客を呼ぶためには何が必要なのか

The man who relaxes on the beach.
 

「その土地の自然の魅力」も観光のひとつ

僕は大学時代から水中写真を始め、世界中の海を潜ってきた。日本の海は特別に美しいし生態系も面白いとわかっていたから、退職後は水中写真をテーマとして日本の田舎を元気にしたいと考えていた。中でも、野生イルカと泳げる御蔵島は、発信したい地域の一つである。

今回は、天候には恵まれず雨も多かったが、野生のイルカと泳ぐチャンスがたくさんあった。生まれたばかりの赤ちゃんイルカと、それを守る母親イルカを見ると、本当に心が癒される。

需要があるからといって、ホテルやレストランを建てるのではなく、自分たちの生活スタイルを維持しながら観光客を迎えている御蔵島の姿は、アフターコロナの日本における「観光産業」の在り方の先進的事例ではないかと考える。

これをヒントに多くの町で「エコツーリズム」を立ち上げて、「食」とコラボさせていくことを考えたいと思う。

今後の観光は、「ただ、美味しいものを食べる」だけでなく、自然と共に生きていることを実感できるメニューが必要となってくると思う。言い換えてみれば、それだけ人が自然と触れ合う時間が少なくなってきていることを意味するのかなぁと感じる。

邑南町でも、「香木の森公園」を舞台にノルディックウォーキングのコース設定をしてツーリズムを展開している。

これからの観光は、「その土地の良質なもの食し、その土地の自然に身をおきながら体を動かす」ことがテーマになる。従来の土地の有名なものを見るだけでは、満足されなくなるのではと考える。

だからチャンスはどの地域にもある。ただその際、「自分ごと」として考えた地域と考えなかった地域では大きな差が出てくると思う。

これを考えていくリーダーは、やはり地域の行政職員であったり、観光協会の職員なのだ。御蔵島でそれを再認識した。

北海道鹿部町、東京都千代田区、御蔵島と巡った旅を終え、2週間ぶりに邑南町に帰った翌日からは、広島県北広島町のアドバイザー業務が始まる。

北広島町では、今回から地域商社が実際に事業者の元に通い、今年度から本格的に取り組むふるさと納税の返礼品の発掘を行っていく予定だ。

僕は「ふるさと納税の返礼品は、納税額を上げて行くためには魅力あるものを作らないといけない」と思っているが、この事業の本質は、返礼品を通じて、事業者と支援していく地域商社の職員の成長にあると考えている。

次回は、そんな事業者と地域商社の人たちが抱える悩みなどについて書き綴っていきたいと思う。

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(『週刊 寺本英仁「にっぽんの田舎を元気にするために Plus A」』2022年6月15日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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島根県生まれ。東京農業大学を卒業後、1994年、郷里の島根県石見町(現・邑南町)役場に入庁。<A級グルメ>の仕掛け人として、2016年、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』でスーパー公務員として紹介された。2022年4月から、にっぽんの田舎を元気にする「地方創生プロデューサー」として独立。株式会社ローカルガバナンス代表取締役、プラットフォームサービス株式会社取締役・ちよだ地方連携ネットワーク地方連携特命官。総務省の地域力創造アドバイザー。東亜大学客員教授。著書に『ビレッジプライド』(ブックマン社)、『東京脱出論』(藻谷浩介氏と共著、ブックマン社)がある。

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