日本が今のうちから強化しておくべき対策
そして、台湾政府も台湾有事を現実の問題と捉え、様々な対策を強化している。たとえば、台湾国防部は3月、軍事訓練義務の期間を現行の4ヶ月からさらに延長する可能性を示唆した。今日、台湾では徴兵制は撤廃されているが、4ヶ月の訓練のみは依然として義務となっており、中国の脅威を受け市民の間では期間を1年に延ばす政府案にも肯定的な意見が多くなっている。
また、蔡英文政権は4月、中国による軍事侵攻に備えて民間防衛に関するハンドブックを初めて市民向けに公表した。このハンドブックには、スマートフォンアプリを使った防空壕の探し方、水や食料の補給方法、救急箱の準備方法、空襲警報の識別情報などが記述さており、台湾国防省も災害や軍事攻撃を含む緊急事態発生時に、市民が何をすべきかについて地方自治体が指導するための基盤となると説明している。
一方、台湾内政省も昨年4月、有事の際に市民が早期に防空壕を発見できるように防空壕の場所を示すアプリの運用を開始した。台湾には日本統治時代の防空壕も残っているが、それを含めマンションや工場、学校など各地に10万箇所以上の防空壕があり、市民に対して有事の際にはアプリを有効活用するよう呼び掛けている。
以上のように、台湾では中国からの経済的、軍事的威嚇が続くなか、ウクライナ情勢もあり台湾市民の間では米国への懸念が高まり、台湾政府は実際そのための対策を強化している。この動きを日本人はどう考えるべきだろうか。台湾有事が日本の安全保障と切っても切れない関係にあるのは明白であり、日本としては今のうちから最低限の退避対策を強化するべきだろう。ウクライナは陸続きであり、ロシアの侵攻によって多くのウクライナ市民が隣国のポーランドやモルドバなどに避難でき、そこから飛行機などを使って日本を含む世界各国へ退避している。しかし、ウクライナと違い台湾は四方を海に囲まれており、ウクライナの様にはいかず、退避はもっと難しいものになる。それを肝に銘じるべきだろう。
image by: 中華民國海軍 - Home | Facebook