武田邦彦氏が激怒。日本にそぐわぬ「西洋拝金主義」を採用する企業の愚

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どれだけ懸命に働こうとも、一向に上がる気配のない賃金。日本人を取り巻く環境は、いつからこうまで暗く、先のないものになってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では中部大学元教授の武田邦彦さんが、何よりもお金を優先する欧州文化を取り入れてしまった日本企業の責任を指摘。働く人々よりも株主を優先する昨今の企業姿勢を批判的に記しています。

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日本社会の第四の課題 現役世代さえ満足に人生が送れない

日本とヨーロッパの社会に対する考え方の違い

これまで、現代日本で自分の希望する人生を選択できないのは、女性、高齢者、そして子供だということを整理してきた。でも、実は社会の中心となるべき「現役世代」も同じく自分が希望する仕事、人生、そして満足する日々を送ることが出来ないことを指摘したい。

ある国の人の体はその国の作物、気候、社会などによって形作られてくる。人間の体は1万年ほどかけてその土地で取れる作物、料理の習慣、社会的な環境によって決まる。髪や肌の色、身長や体重、腸の長さや胃で分泌される消化酵素、腸内細菌、免疫系など全てはその土地で決まる。一例としてあげれば、イギリスがオーストラリアを植民地にして本国の囚人を送った当時の記録を見ると、オーストラリアの気候の影響で皮膚癌が27倍になったというものもある。だからイギリス人の肌は白く、オーストラリアに住んできたアボリジニーという民族は日本人よりはるかに黒い肌をしている。

それは体の特徴ばかりではなく、心や集団性などについても同じで、日本人はやや集団性や道徳心が強い。そして民族構成が単純で周りが海に囲まれ、山が迫っていて社会が狭い。悪いことをして逃げおおせるということが難しいので、「自分勝手より集団のため」となるのは自然の勢いである。

だから大陸、特に近代ヨーロッパの社会では「資本家と労働者」にはっきり別れていて労働契約に基づいて働き、報酬をもらう。労働者は資本家の意思などを推定する必要はなく、ただ労働契約に基づいて労働をすれば良い。でも日本は違う。もともと、資本家と労働者という概念がない。会社に勤める人は皆同じで、経営者は経営を、一般社員は日々の仕事をするという差はあるものの、みんなで協力して会社を繁栄させなければならないと固く信じている。

徳川時代なら藩のため、現代は郷里のため、会社のため、仲間のためなのだ。

かく言う著者も日本人だから、学校を卒業して会社に入ったときは労働契約などというより会社のために頑張るぞと思っていた。当時は職場で年末旅行があり、秋には事業所で運動会もあった。会社という一家であって暖かかった。

ところが、高度成長や外資導入などがあって21世紀に入ると、日本の会社は「ホールディングス」などという株主の権限を表に出し、さらに屋上屋を重ねた組織が出来て、「会社は株主のmpなのだ」と言わんばかりになった。

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