ミサイル発射に「金正恩立ち会い」と報道。北が謎の沈黙を破った理由

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今年に入り異常なまでの頻度でミサイル発射を繰り返すも、5月以降はその報道を一切行わなくなった北朝鮮。しかし10月13日、前日の発射実験の成功を伝える記事が労働新聞に掲載されました。なぜ北朝鮮は突如謎の沈黙を破ったのでしょうか。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、その理由を考察。さらにエスカレートする南北の軍事牽制の実態を伝えるとともに、それに起因する人的被害の懸念を記しています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2022年10月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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沈黙から一転 金正恩氏立ち合いでの戦術核搭載訓練と発表

北朝鮮のミサイル軍事発射が続いている。

10月13日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立ち会いのもと、朝鮮半島西側の黄海で長距離巡航ミサイル2発の発射実験が12日に行われ、成功したと伝えた。このようなミサイル発射に指導者が現地視察している報道は久しぶりである。

この実験では「ミサイルが楕円や8の字の軌道で2時間50分34秒飛行し、2,000キロ・メートル先の目標に命中した」としている。紙面に掲載された写真のミサイルを見ると、昨年9月に発射され1,500キロ飛行したとする長距離巡航ミサイルに形状が似ている。今回のミサイルは、今月9日までの15日間、弾道ミサイルを7回発射する訓練を行った「戦術核運用部隊に作戦配備された」ということで、戦術核の搭載を想定してすでに実戦配備されているとしている。

翌14日には、日本海と黄海に向けて多数の砲撃を行い「敵の挑発策動に改めて明確な警告を送ることが目的だ」と主張した。

韓国と北朝鮮は、2018年に南北の海上の境界線付近に定めた海域への砲撃は行わないことで合意している。しかし、北朝鮮はこれを無視したことになる。

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が18日夜10時頃から、南西部の黄海南道から朝鮮半島西側の黄海に向けて約100発の砲撃を、18日夜11時頃には、南東部の江原道から日本海に向けて約150発の砲撃を、それぞれ行ったと発表した。

韓国軍合同参謀本部は、砲撃は南北の合意に明らかに反するとした上で「北の相次ぐ挑発は、朝鮮半島はもちろん国際社会の平和と安定を損なう行為だと厳重に警告し即刻中断するよう強く求める」とした。一方の北朝鮮軍の総参謀部は19日朝、国営の朝鮮中央通信を通じて報道官の声明を出し、韓国軍が17日から米軍も一部参加する形で実施している定例の野外機動訓練に対して「重大な警告を送るため、強力な軍事的対応措置として威嚇・警告砲撃を行った」と明らかにし、強くけん制した。

南北軍事合意に違反する北朝鮮の行為としては、2019年11月、黄海の北方限界線(NLL)に近い昌麟島からの海岸砲射撃、2020年5月の非武装地帯での韓国軍監視所銃撃がある。さらに、今月10月14日以降の砲撃が計8件もある。

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