もはや異次元の無能。岸田首相が「少子化うんぬん」を語る前にすべきこと

 

そして、そもそもの話としても、少子化うんぬんを語る前に、まずは「今の子どもたち」を救うのが先でしょう。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の子どもの貧困率は13.5%、100人のうち13.5人の子ども、つまり、7人に1人の子どもが貧困なのです。これは世界平均の12.8%よりも下で、世界ワースト21位なのです。その上、シングルマザーなどの「ひとり親世帯」だけを見た場合には、世界平均が33%なのに対して、日本は何と52%、半数以上の世帯の子どもが貧困で、これは韓国、ブラジルに次いで世界ワースト3位なのです。

1日3食を食べられない子どもがこんなにたくさんいるのに、この子どもたちへの手当てを何もせずに少子化対策だけしても不幸な子どもが増えるだけです。2012年までの民主党政権下ではゼロだった「子ども食堂」が、安倍政権下の8年弱で全国に5,000カ所以上も作られ、その後の菅政権でも岸田政権でも増え続け、とうとう6,000カ所を超えてしまいました。あたしも毎週木曜日に、近所のお寺がやっている「子ども食堂」のお手伝いに行っていますが、子どもと一緒に食事に来た若いママさんたちは、皆さん口をそろえて「職業の男女格差」と「物価高」と「高すぎる光熱費」に苦しんでいると言います。

中でもあたしがショックを受けたのは、小学生の子ども2人をパートの掛け持ちで育てている30代のママさんの話でした。昨年の秋、そのママさんが2人の子どもを連れてお寺の「子ども食堂」に初めて来た日、子どもたちは夢中で食べていたのですが、ママさんはお箸を持ったままポロポロと泣き始めたのです。あたしが声を掛けると、「ゆうべは1つのカップ焼きそばを子どもたちに半分ずつ食べさせて、自分は我慢した。子どもたちがたくさん食べているのを見たら涙が止まらなくなった」と言うのです。

新型コロナ前までは、中堅の衣料メーカーで正社員として働いていて生活に困ることはなかったが、新型コロナで解雇され、どんなに努力しても正規雇用の口が見つからない。仕方なくパートを掛け持ちして休まずに働き続けているが、収入は以前の半分になり、そこに物価高と光熱費の高騰の追い打ち、とうとう子どもたちに満足な食事も作ってやれなくなった…と泣きながら打ち明けてくれました。今では仲良しになり、帰りにはお土産のおにぎりを渡すようになりましたが、今の日本には、こういうシングルマザーが数えきれないほどいるのです。

帝国データバンクによると、昨年2022年の食品の値上は2万品目を超え、その平均値上げ率は14%を超えています。また、今年もすでに7,000品目の食品の値上が予定されています。あたしがお手伝いしている「子ども食堂」では、複数の農家から形が悪くて出荷できない野菜などを無償で提供してもらって利用させていただいていますが、スーパーなどで普通に食材を買っている人たちは本当に苦労していると思います。

1月7日、教育格差解消に取り組む公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」は、小学1~6年の子どもを持つ保護者を対象にしたアンケート調査の結果を発表しました。これによると、世帯年収300万円以下の小学生の29.9%、約3割が、昨年秋までの1年間に、学習塾を除くスポーツや音楽などの習い事、旅行やキャンプ、動物園や博物館などのレクリエーションを「1回も体験できなかった」と回答しているのです。

今は「新型コロナ禍」ということもありますが、「1回も体験できなかった」との回答は、世帯年収が300万円~600万円の小学生は20.2%、600万円以上の小学生は11.3%と、明らかに世帯年収によって格差が生じています。これは、ハッキリ言って「お金がないから子どもを動物園に連れて行けない」という家庭がたくさんあるということです。この調査を実施した「チャンス・フォー・チルドレン」は、「物価高の影響も出ており、親の所得による子どもの体験の格差が広がらないように、公的な補助が必要だ」と指摘しました。

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