ひろゆき氏「私立中学への進学は娯楽」のド正論。公立中を避ける親たちの問題点

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年々増加の一途を辿り、2023年度は過去最多となることが確実な首都圏の中学受験者数。そのような状況にあって、東京都の私立中学への授業料助成に異を唱えるひろゆき氏の発言やツイートが話題となっています。賛否両論渦巻くこの状況を、識者はどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、プリンストン日本語学校高等部の主任を務める米国在住作家の冷泉彰彦さんが、ひろゆき氏の発言について「至極正論」と断言しその理由を解説。さらに「無償の義務教育が無効で危険」である現状こそが異常との見解を記しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年1月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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なぜ公立中を避ける親は、ひろゆき氏の「私立中は娯楽」に怒るのか?

西村博之氏は、ABEMAでの出演やツイートを通じて、東京都の私立中学校への進学に対して、授業料を助成するという案に反対したようです。具体的には、「私立に行くのは娯楽なので、自腹で行けと思います」と断言したと報じられています。

例によって、西村氏の話芸のネタにされると、無駄な対立エネルギーが空回りして社会的には意思決定へのコスパが悪化してしまうのですが、その辺を別にして考えれば至極正論だと思います。

東京都内の場合、中学入試が年々激化しています。近年では、昔はヤンキー女子校だった学校を共学化するとともに、塾関係者や文部行政関係者の天下りなどとセットで、校名をリブランドして国際教育のクラスを作ったりすると、ビジネスとして成功するという方程式があるようです。そんな新しい戦略も含めて、中高一貫校はどんどん人気化しているわけです。

何が問題かは、明らかです。小学校3年生ぐらいから塾通いをさせないと一流といわれる学校には入れないケースが多い中では、資金力がモノを言うし、そうなると、格差の世襲化が進行し、その結果としてエリート層の貴族化と保守化が進行して、国家が蝕まれてしまうからです。

とにかく、中学までは義務教育ですし、高校も法制上は無償化されているわけです。義務とか無償というのは、「タダだから最低レベルでいい」というのではありません。スポーツを真剣にやりたい、音楽を専門的に学びたいというのと同じように、サイエンスや数学を専門的に極めたいという生徒の要望を満たすことも、義務とか無償ということに入っているはずです。

例えばですが、コロナやインフルのワクチンの場合は、無償(インフルは例外もありますし、5類になるとコロナも怪しいですが)だからといって、中身は生理食塩水だなどということは、あり得ないわけです。無償であっても、最新技術を駆使したmRNAワクチンが提供されるのは当たり前です。

にもかかわらず、教育の場合で考えると、公立の特に中学の場合は、都区内の学校で考えると、昔よりは多少はマシになっている地区もあるものの、最先端の学習ができないどころか、通学が「危険」という場合もあるわけです。

例えば、学区によっては反社系の家庭の子どもが、中学生の段階から麻薬や暴力の逸脱行為に引き込まれていたりします。そうした生徒の更生までを教育に求めるのは酷かもしれません。ですが、そうした生徒を引き離して、真面目に勉強したい生徒にキチンとした、つまり安全な環境と学習機会を与えるということについて、保護者の信任がゼロとなっているわけです。

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